風評被害から利用者、職員、家族を守れ!

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 

毎週取り上げている新型コロナウイルスについても、一部地域を除いて政府の緊急事態宣言が解除になりました。
ようやく光明が見えてきつつありますが、第二派の可能性も捨てきれず、まったく油断が出来ない状況です。
感染拡大の第二波が、今年の冬にでも来るのではないかとの予測もあり、緊急事態宣言解除の反動からくる所謂「緩み」が、一気にその感染時期を早めてしまう様なことが無いように、祈るばかりです。

5月15日にクラスター感染が発生している札幌の介護老人保健施設で、新たに3人の陽性が確認され、死亡者は13人になったという情報を得ました。そのうえ現在も、病院に移動することなく、当該施設で療養を継続しているという事で、陽性患者40人を含む、71人が施設で生活をされているとの事です。
受入れ先となる医療体制の問題で、我々老施協会員の施設においても同様の事が起こることは十分に予想され、いざ新型コロナウイルスが発生した場合の施設対応、対策について準備を進めないといけないと改めて感じました。

そのなかで、今、大きな問題のひとつとされているのが、介護施設に対する風評被害です。
医療従事者へのいわれなき誹謗中傷が深刻化していることは、昨今の報道でも問題視されていますが、介護従事者にもその矛先が向けられるケースが各地で報告されています。
今まで経験した事のないウイルスへの恐怖で、誰しもが不安に陥るのは当然の事だと思います。しかし、それを承知で危険で過酷な最前線で、自らの職責を必死に果たそうとしている仲間をリスペクトし合いながら、今こそ、我々が一致団結して、心無い声に負けず頑張っていかなければなりません。

私達は命を守っている職業ですから、多くの介護職は、まず自分よりも自分の周りの利用者や職員、家族の事を考えてしまうのだと想像します。
自分の健康・生命に対する不安と恐怖に加え、他社への心配、また罪悪感と阻害感など、想像を絶する大きな精神的ストレスを抱えるたはずです。
万が一の場合、またその疑いのある場合においても、正しい情報を正しく伝える事、職員間で不安が広まらない様に精神的なケアをしていく事も私達の責任だと思います。

残念ながら、新型コロナウイルス感染者が出てしまった施設の施設長から、次の様な話を聞きました。
 

感染が確認されてから、事務所の電話がなりっぱなしだった。行政、所轄庁からは、現状確認や問合せが殺到し、家族からは問合せに加えて苦情もあった。匿名の電話では「職員を施設から出すな!」、「ばい菌」、繰り返される「無言電話」なども殺到した。本当は、感染者の対応や職員の負担をフォローしたいのに、電話対応に追われて、まったく事務所から離れられなかった。

大変、悲しいことですが、これも一つの現実です。
 
そんな仲間の助けに少しでもなればと、この度、全国老施協では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)風評被害等のコミュニケーション対応支援に関する相談窓口を設置しました。5月~6月の期間運営しています。
 
(会員ログイン)施設での新型コロナウイルス感染の風評被害や、それに伴う家族などからの問い合わせ、万が一感染が出てしまった場合の対応などのサポート窓口として活用頂けます。
 
困ったことがあったら、一人で悩まず、全国老施協ホームページで確認してみて下さい。

 
突然ですが、私達、福祉職にとって一番大切な原則はなんでしょう。
私は間違いなく、「尊厳」であると思っています。
生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現の欲求、介護において、よくこの5段階のマズローの欲求階層が語られる事がありますが、その支援の根底にあるのが、「尊厳」であると私は思っています。
 
介護職として知識も経験も資格よりも大切なことは、利用者に対する精神、すべての個人をその人らしく尊重し、決して惨めな思いをさせない事であると思います。
 
介護が必要な状態になると自尊心が傷つきやすい状況になります。
そういった時に私達介護現場の人間は、介護の技術だけでなく、社会的に人間の尊厳を守るスペシャリストでなくてはならないと思います。

私達はプロとして、あらぬ風評被害、偏見から、職員を!利用者を!そして地域や社会を守る!
これからは、そういった気概を持って新型コロナウイルスと戦っていかなけらばならないと思います。
 
また来週も健康で、皆様にお会いできる事を楽しみにしています。
NO WELFARE,NO LIFE!!(福祉なしでは生きていけない!!)