真夏の感染予防対策。

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
先週6月19日、政府は国民に「県をまたぐ移動」が解禁になりました。
ようやく、この日を迎えることが出来ましたね。
この移動の解禁については専門家でも判断が分かれるところではありますが、まずは素直に喜びたいと思います。
同時に、再び行動の制限が無くなった事により、再度国内感染拡大への可能性が高まるため、引き続き3密を避けながら予防・対策に努めていかなければなりません。

さて、政府が発表した「新しい生活様式」も言葉としては、随分浸透していますが、実際に私たちの生活に馴染むまでには、かなりの時間がかかるのではないでしょうか。
「新しい生活様式」は、新型コロナウイルス感染症の予防対策のために、人々の行動を変えていく考え方のことですが、いくらこの数ヶ月で感染予防の意識が高まったとしても、もともと人間の本質である社会的な接触を避けていく事は難しいと感じています。
 
政府が提案している「新しい生活様式」の詳しい内容にまで眼を通すと、感染症対策として家庭内、家族の団欒や生活や文化的な活動までその範囲が及んでいます。さらには、店舗内での会話は控えめに、座席は向かい合わせににしない、など、よもや従来の生活常識では理解できないものまでが含まれており、この理解がどこまで持続できるのか疑問を感じるところです。
 
指針は指針として理解に努めながら、結局は、自分の中で理解を咀嚼し、一人ひとりの生活に合わせた「臨機応変さ」が重要になってくるのだと思います。

さて、私たちには、これからもうひとつ問われるものがあります。
それは、真夏の感染予防対策」です。
 
気象予報によると、今年は昨年より気温の高い日が40%を超え、超猛暑になる可能性を予測しています。
「誰も経験したことのない夏になる」との見解の示されており、非常に心配しています。
 
「熱中症の対策」に万全を期さないといけない状況に加え、「感染症対策」を施さなければならないという、正に、私たち福祉・介護業界で仕事をする者にとっては、経験した事のない「未知の夏」を迎える事になるという事です。
 

厚生労働省としては、この今夏令和2年度の熱中症予防行動の留意点として、3密を避け、こまめな水分補給や、エアコンとサーキュレーターを活用した換気などを指針としていますが、熱中症予防のポイントとして、介護の現場で一番リスクを感じるのは、職員のマスクの着用でしょう。
以前NHKで、マスクを着けた時の顔の温度と、着けない時の温度がどう変わるのかを、サーモグラフィーで検証した番組がありました。
検証の結果、マスクをしていない状態では、口元の温度は36度前後、マスクを着けた場合は、温度はすぐに3度ほど上がり、39度から40度、さらにマスクの内側に熱がこもり、汗をかき、時間が経過するにつれて、息苦しさを感じた、とありました。
 
専門家の意見では、「マスクによって熱中症になりやすいという事ではないが、呼吸がしにくくなり、心拍数や呼吸数が1割ほど増える。そこに運動や気温の上昇が加わると、熱中症のリスクは高まる」ということなのだそうです。

介護職の業務のなかで、特に入浴の際などは、どんなに換気扇を回しても湿気や熱気、気温の上昇で熱中症のリスクが高まるのは間違いありません。
職員にとっては、毎回苦行になっているのが現状です。
 
この点について、政府はどのような見解なのかと気になり、厚生労働省のQ&Aを調べてみましたが、「原則は着用」という結果でした。
想定通りではあるものの、私自身、現場で入浴介助をしている身としては、ただでさえ汗だくなうえ、温度と湿度で息が苦しくと思うと「マスク着用で入浴介助・・・」、「・・・」というのが率直な感想です。
 
確かに、行政としては万が一感染が発生したリスクとして「着けなくて良い」とは言えないのでしょう。
同時に、このQ&Aを作成した専門家チームは、現場の現状を知らないのではないかと率直に感じてしまいます。
 
最終的には、施設や事業所の裁量、現場の判断という事になると思いますが、各法人や責任者の中でも対応や考え方は分かれている様で、この様な難しい問題こそ、行政として判断を現場に丸投げするのではなく、十分に議論を尽くし、メリットとデメリットをしっかりと示した上で、現場への判断を委ねて欲しいものです。

マスクだけでなく、フェイスシールドと併せ、両方使用している施設(くもらないのかな…)、マスク着用は脱衣室のみ、予防方法は職員個人の判断に任せます、など、私が知っている施設の対応だけでも、正に、多種多様です。なかには、利用者の方から「入浴中もマスクを着けてくれ」との要望もあると聞きます。
 
今後、製造メーカーの尽力により、夏用の換気や通気性のより良いマスクが開発されることを切に期待したいと思います。
 
現場の職員は非常に責任感が強く、自己犠牲を厭わない人も少なくありません。つまり、「無理をしがち」ということです。
それ自体は本当に素晴らしい事なのですが、私は、現場の職員こそ、「頑張りすぎない」「無理をさせない」環境作りが大切だと考えています。
 
こまめな水分補給をして、具合が悪そうな時には、周囲から積極的な声掛けなどをして欲しいと思いますし、決して無理をせずに、お互い支え合いケアを行ってもらいたいと切に願います。
 
私はこの様な介護職員の姿、介護職員の現実を、メディアに正しく報道してもらい国民に理解してもらいたいと思っています。
医療現場だけでなく、一番リスクが高い高齢者を支えて、新型コロナウイルス感染をここまで食い止めているのは、まさに全国の介護職員なのですから。


 
全国の介護・福祉関係者に尊敬と感謝を込めて、健康でまた来週お会いしましょう!
NO WELFARE,NO LIFE!!(福祉なしでは生きていけない!!)