現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
気が付けばもう10月、今年も残りわずか3ヶ月となりました。
昨年の11月頃から徐々に感染拡大が始まった新型コロナウイルスとの戦いで、私達の生活は大きく変わりました。
介護業界も予防や対策への対応を余儀なくされ、職員はじめ業界全体が疲弊した時期もありましたが、同時に濃密な時間を経験した時期でもあったように思います。
いずれにせよ、あっという間の1年間であったと思います。
ここ最近政府では、新型コロナの影響で遅れていた「来年度の制度改正に向けてのヒヤリング」が、加速してきており介護保険の制度、報酬改定、介護予防、地域包括ケアシステムの構築、新しいテクノロジーを使った介護現場の革新など、来年度以降の法改正に向けた論争が始まっています。
一番の論点は、なんといっても新型コロナウイルス対策でありますが、これは、一時的な特例措置でなく恒久的な支援政策を行って欲しいというのが、介護業界全体の願いであると思います。
そして、例年のことながら、全国老施協としては、何といっても報酬改定によるプラス改定を勝ち取る事も重要な事になります。
ある調査では、全国の特別養護老人ホームでは、全体の約34%から36%の施設が赤字運営をしているという結果が出ています。
調査方法により、違いはあるかもしれませんが、多くの特別養護老人ホームが厳しい運営状況であるというのは、体感的にも事実であろうと感じます。
また、建物が老朽化して建て替えが必要な施設も、全国で3割以上にのぼるとも言われており、30年以上経過した施設の費用の問題も根強く存在しています。
当然これらは、運営主体の自助努力や自主改革が必要でもあり、すべてが、制度の悪いという訳ではありません。
同時にこうした現状は、これから益々加速する高齢者の数と困難事例への対応を考えると、今後必要となる政策の転換や制度改正は、これまでのような「加算の乱立」ではなく、いかにして「介護保険制度を恒久的な制度として機能させるか」という視点が必要になると思います。
そうであれば、政府として何らかの手当てをしなくてはいけない問題であるということができると思います。
ネガティブな話題が続いてしまいましたが、介護業界にとっては決して悪い話題ばかりではありませんでした。
私が個人的に期待を大きくしているのは、福祉介護に対して深く理解のある菅新総理が誕生した事、豊富な経験ある田村厚生労働大臣が赴任した事です。何といっても、政策論争がスピード感と実のあるものになると期待できると考えています。
私が特に、喫緊の課題だと思うのは、人材確保、定着率向上のための特定処遇改善加算の中身についてです。
特定処遇改善加算は、介護職の給与を支援する内容のもので、現在と将来の深刻な人手不足を解消を目指すために新設されたものですが、処遇改善がはかれない職員をどうするか、また内容についてはルールが多い事から現場の関係者からは不満の声もあがっています。
算定率についても、今年3月では全体で59.4%、特養などは84.9%と施設関係は高い傾向にありますが、通所介護は59%、訪問介護は47.3%など在宅サービスに関しては伸び悩みの状況にある傾向となっています。
こうした現状から、内容については、もう一度現場からの意見を反映し、事務負担を含めて改善が必要なのではないでしょうか。
今日は、私から一つ提供ができる情報があるので、お伝えしたいと思います。
厚労省では、他業界で働いていた無資格の就労者が介護職に参入する場合に、インセンティブとして20万円を支給案が計画されているそうです。
これには2年間の就労義務という条件がつけられますが、新型コロナウイルスで倒産が相次ぐ中で、失職した人に対して新たな職場を提供する意味もあると思います。
無資格の人にも幅広く介護人材の対象とする施策は、厚生労働省としても初めてという事になり、私たち介護業界としては、多様な人材が介護業界への参入に繋がる事を期待したいと思います。
この他にも厚労省は、介護福祉士を目指す高校生への学費支援策、河野大臣の発言で取り上げられている、介護現場の押印・署名の簡素化と効率化などを含め、概算要求として33兆円規模の過去最大規模の準備をしているようです。
もちろん、この中にはコロナ対策予算要望も含まれていると思います。
まさに今は、日本の変革期、介護と福祉の新しい扉が開く一歩手前と言っても差し支えない重要な時期だと思います。
働き方、考え方が物凄いスピードで変わっていくなかですが、確かな情報を取捨選択し、自分自身の価値を高められるように頑張りましょう!
WELFARE,NO LIFE!