現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
今年もあと2ヵ月あまり、新型コロナウイルスに翻弄され、あっという間に年末を迎えてしまった様な気がするこの頃です。
私のまわりで、最近の頻繁に人々の関心事となっている話題と言えば、新型コロナウイルスか、アメリカ大統領選挙です。
アメリカ大統領選挙に関しては、他国の選挙のようでいて、我が国日本にも大きな影響も及ぼしますから、他人事のような気がしません。
まして、歴史上稀に見る激戦に加え、トランプ現大統領の非常にインパクトのある発言が加われば、世界の注目を集めるのも納得です。
さて今日は、これから我が国日本が、そして世界が直面する大きな問題とされている、認知症の話をしようと思います。
現在、私たち日本の認知症の高齢者人口は約602万人と言われています。つまり、6人に1人がすでに認知症有病者と言えるのです。
また、平成29年度の高齢者白書によると、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症を発症すると言われ、その人数は730万人を超える増加とされています。
しかしながら、これらの数字はあくまで予想であり、正確な数字では恐らくありません。
なぜなら、地域や家庭では、まだ行政で把握しきれていない隠れ認知症高齢者が多く存在するからです。
軽度認知障がい(MCI)を認知症予備軍として見込む調査がいくつかある一方で、かかりつけ医の所見や、家族が身内の高齢者の物忘れなどに気付いた時には、認知症の進行が起きているケースは数多くあります。
つまり、本人や家族の自覚のないまま、急速なスピードで認知症による困難事態に直面する可能性が非常に強いということです。そして、残念なことに、この様な事例を耳にする機会も多いのが現実です。
認知症の原因や発症の経緯は人それぞれで、しかもそこに行政や包括支援センターがどこまで踏み込めるかは、ご本人の病識の有無や家族の受け入れ度合いによって、違いが生じます。
2015年からは、認知症の早期発見、診断を目的に、医療と介護の専門職によって認知症初期集中支援チームが各市町村で配置されたり、認知症サポーター制度も導入され、地域の民生委員や地域包括支援センター、コーディネーターなどの活躍が期待されていますが、その人数は限られており、実際のところは無報酬でボランティア、もし発見まで至ったとしても、認知症への知識や理解も今後爆発的に増加する認知症高齢者に対応できるかというと現状ではとても追いつかないと感じています。
認知症の対策でもっと重要な専門性を持たないといけない場所は、言わずとも私たちの介護施設でしょう。
しかし、現状として、私たちの介護施設において、社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャーなど、多くの専門職は配置されども、その数は決して十分ではありません。
介護労働安定センターの昨年度の調査結果からは、介護施設におけるこれら有資格者の割合は、全体の介護職のわずか6%しかいない事がわかっています。
これを踏まえ、5日の社会保障審議会、介護給付費分科会では、来年4月の介護報酬の改定で全ての無資格の介護職員に対して「認知症介護基礎研修」の受講を義務付ける方針を固めました。
この介護基礎研修は、認知症の理解、対応の基本、ケアの留意点などを含めた内容で、カリキュラムは6時間で、経過措置を設けて実施、介護サービスを担う全ての職員が対象となり、サービスの質の向上や利用者の尊厳に繋げるものとしています。
逆に捉えれば、この有資格者の割合は、現在の介護施設は無資格、未経験者の職員で支えられているとも言えます。
将来的に資格取得を目指す職員のなかでも、現在行われている介護職員初任者研修と合わせて、この認知症介護基礎研修が高齢者介護をしていく上での土台になればと思います。
また、来年の介護報酬改定の議論に向けて、政府財務省の審議会が2日に開催されました。
そこで話し合われた内容の一部をご紹介します。
財務省としては、
「介護報酬プラス改定にすべき事情は見出せない」
「プラス改定で国民に負担増を求めてまで、介護職の処遇改善を更に進める環境にはない」
「介護報酬改定において恒久的な負担増をもたらす対応は適切ではない」
との意見が報告されました。
最終的に、これら政府の最終決断は年末になるとしていますが、今までの全国の赤字施設の増加や、コロナ禍での倒産件数、これまでの人手不足や厳しい経営環境を鑑みても、私からは率直に現場からかけ離れた、非情な言動としか受け止められません。
今後、介護報酬改定では更なる駆け引きや議論が激化すると思いますが、先に挙げた認知症の対応にしても、これからの生活で国民が何を求めているのか、私たちは事業所としてその高齢者の生活の場を守らなければなりません。
私たちの施設の最低限のサービスが担保できなくて、安心した国民ひとりひとりの最低限の幸福が実現するのでしょうか。
介護と福祉の仕事を守るために将来への投資を怠ってはならないと思いますし、私も活動を続けたいと思っています。
WELFARE,NO LIFE!