ケアマネの未来に向けて

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 

来年度の介護保険制度改正を巡る介護給付費分科会のなかで、ケアマネジャーの処遇に関する議論が大詰めを迎えています。
 
言うまでもなく、ケアプランの作成や相談支援、関係者との連絡調整等、現行介護保険制度における、キーマンたるケアマネジャーは極めて重要な役割を担っています。
しかし、ケアマネジャーの業務内容や処遇に関しては、課題感が多いのが現状です。
 
厚生労働省の発表によると、本年10月に行われた介護支援専門員実務研修受講試験では、受験者の数が4万6456人であったことが明らかになりました。

ケアマネジャーの受験者数は、2017年までだと毎年13万人前後で推移していましたが、2018年度から受験資格の厳格化給与待遇などの原因で急激に減少。前年度と比べて約8万人の減少という結果となりました。
ケアマネジャーの受験者が、大幅な減少に転じてからは、以前の水準に回復する兆しは未だ見えていません。
 
ケアマネジャーを目指す人材減少要因のひとつが、「給与と処遇」の問題です。
 
2019年の10月から創設された介護職員等特定処遇改善加算では、「施設における経験のある介護職員やベテラン介護職員に給与の増額をおこなう」という重要な政府の制度設計がおこなわれました。
しかし、残念ながら処遇改善加算の対象にケアマネジャーは含まれていません。
 
介護職員等特定処遇改善加算の影響で、介護職がケアマネジャーの給与を追い越したケースも生じました。

 
また、来年度に向けた政府会議で「ケアマネジャーの介護報酬の逓減制(ていげんせい)が45件から適用になる」議論が持ち上がったことも、注目したい事案です。
 
かねてから、ケアマネジャーの基本報酬は、40件以降は担当利用者が増加するごとに報酬が下がっていく「逓減制」が導入されていますが、時代背景を鑑みICTなどテクノロジーの導入や職員配置などを要件に、45件以降まで上限を緩和。
「逓減制に当たらない緩和処置をとる」ことが検討され、同時に、逓減制の下げ幅を大きくするなどのルール変更が考えられているそうです。
 
今後も、テクノロジーなどを活用した、適切なケアマネジメントの手法をめぐる議論は、活発化する見通しとなっています。
 
ケアマネジャーは、潜在介護士と同時に、「資格を取ったものの実際にその職に就いていない職員が多数存在する」職種でると言われています。加えて、経験あるベテラン職員のリタイヤや高年齢化が叫ばれている職種でもあります。
 
また、「多忙の割に報酬が低い」という印象が強く、業務の重要性とは裏腹に、更に、人材不足になることが明らかですから、何かしらの手立てを考えなければいけません。
 
ケアマネジャーという職種の魅力を高め、その労力に見合った報酬体系や制度設計に近づけていかなければ、離れていったケアマネジャーを戻すことも受験者数を増やすことも困難です。
 
政府には、現在おこなわれている議論のなかで、今ある現状と現場の声に充分に耳を傾け、制度設計を通じての今後の早急な「ケアマネジャーの担い手確保」を強く求めて行きたいと思います。

来週また、このコラムでお会いしましょう!
WELFARE,NO LIFE!