現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
この数日間で、今回の介護報酬改定の内容や点数、省令などが続々と発表されてきました。
既に皆さんがご存じの通り、12月に発表された令和3年度の介護報酬改定率は、プラス0.70%に決定しました。
このうち新型コロナウイルス感染症にかかる財源など、期間限定の特例的な措置についてが0.05%ですから、実質上は0.65%の決着となっています。
この期間限定の0.05%のコロナ財源に関しては、今年の9月までと発表されていますが、田村厚労大臣も述べているように「延長しないことを基本として、感染状況によって柔軟に対応する」との事なので、社会情勢によりもしかすると今後延長される可能性も出てくるのではないかと感じています。
今回の介護報酬改定に関する審議報告の概要をまとめると、おおきく5つのテーマで、「感染症や災害への対応力の強化」、「地域包括ケアシステムの推進」、「自立支援・重度化部防止の推進」、「介護人材の確保・介護現場の革新」、「制度の安定性・持続可能性の確保」となっています。
注目するのは、このうち一丁目一番地だったテーマである「地域包括ケアシステムの推進」よりも、今回新しく追加された「感染症や災害への対応力の強化」が上の段で取り上げられた事です。
今回の介護報酬改定の基本的な視点のなかで、「新型コロナウイルスが介護事業所に与えた影響がどれだけ大きかったか」が解ります。
一般社団法人が公表している「新型コロナウイルス感染症に関わる経営状況への影響」については、新型コロナウイルスの影響を受けたとされる全国の介護事業所は55.7%で、一方で事業所別でいうと、一番影響を受けたのは在宅系のデイサービス、次いでショートステイ、訪問介護の順番になっています。
こうした、新型コロナウイルス感染症や大規模災害が発生するなかで、今回の「介護報酬改定の方向性」は、その対応力を強く求められる内容となりました。
その他、先に挙げた、おおきな5つのテーマを横断的に見渡してみると、今回は特に「ICTやテクノロジー、データベースの利活用」がどの分野でも取り上げられ、至る所で加算や業務負担軽減、職員配置の緩和などが行われています。
つまり、今後はそれたのデータベースを使ったCHASEやビジットなど、「データや根拠に基づいた介護を進めていこう」という政府の意思がはっきり見える改定となったということです。
また、今後、人材不足、人材確保が今にも増して、大きな問題になる事を想定し、総合的な介護人材確保対策や、少ない人数でいかに生産性向上をはじめとする介護現場の革新を一層進めていこうという方向にあると思います。
特に、ICTやテクノロジーに関しては、どの分野にもこれに関連した加算が含まれている事から、政府としてはいよいよ本腰を入れてきたな感じています。
今後、全国的にばらつきがあるにしても、アナログからの脱却、私たちも本格的にテクノロジーへの対応を迫られるのかもしれません。
5つのテーマのうち、「制度の安定性・持続可能性の確保」になりますが、とにかく国の介護に関する費用と財源は確実に増大していきます。
これから基本的な考え方として自立支援の考え方や、それらに加算などのインセンティブをつける動き、必要なサービスは確保しつつ、財源の適正化を図る政府の動きは変わらず進められていくので、各施設と事業所としてのさらなる努力が求められてくるでしょう。
今回の介護報酬改定の方向性で、特に感じたのはやはり全国老施協の小泉理事の言う通り、「今回の改定は、3年後の医療・介護報酬同時改定があくまで目標地点である。今回はその助走期間に過ぎない」という事です。
3年後の次の改定まで、限られた財源と職員で、複雑化している介護保険制度の業務を簡素化し、業務効率をあげていくこと。
厚生労働省からは、「今からテクノロジーを現場に浸透させて、科学的など根拠に基づいた報酬体系に近づけていくこと」が現場に求められてきますから、今回のその布石と捉えた方が良いのかもしれません。
国は、完全にテクノロジーへの舵をきっています。
この3年間の助走期間に、施設・事業所としてこれからテクノロジーをどの様に取り入れていくのか、職員になじませていくのか、施設・事業所の考えが問われてくるでしょう。今後、注目する省令などが出て来ましたら随時このコラムで取り上げていきたいと思います。
WELFARE,NO LIFE!