現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
政府は、新型コロナウイルスの1月中旬以降の新規感染者数について、全体的に「減少傾向にある」との分析を示しました。
しかし一方で、高齢者施設で起きているクラスター発生件数は増加傾向にあると指摘。
先週、厚生労働省は、「介護施設で感染者が出た場合には、自治体に感染制御の専門チームを作って派遣していく事」や、これら介護施設でクラスター発生が相次いでいる事を踏まえ、全国の介護施設へ「介護施設の職員に、集中的な検査を実施していく」方針を決定しています。
この背景には、新型コロナウイルス新規感染数については、若年層などの一部感染者数が減少している一方で、80際以上の高齢者層の感染者の減少傾向は弱く、新規感染者全体の占める60際以上の割合は増加していると事情があります。
厚労省によれば、全国で報告されているクラスターは4974件(2月8日の時点)で、このうち991件は高齢者施設で起きており、これは報道されている飲食店のクラスターの939件や、医療機関の836件をも上回る数値となっています。
一部新聞などでは、「これら高齢者施設でのクラスター増加は、施設の感染症対策不足だ」などの報道もされており、政府としては、リソースのない介護施設が新型コロナウイルス感染症が起きた際に孤立してしまわない様に支援していく事、またこれ以上の医療体制への負荷を下げていきたいという狙いがあるとされています。
厚生労働省では、現在緊急事態宣言が発令されている10都道府県には、3月まで集中的に介護施設職員の検査を行う事を各都道府県に要請、また残りの37都道府県についても、積極的な検査実施を求める内容の通知を出したとの発表がありました。
しかし、私は、こうした報道や方針に対して、施設側にも言い分があるはずだと感じています。
この一部報道にあった「高齢者施設でのクラスター増加は、施設における感染症対策不足である」に関しては、そもそも全国の施設では、この一年間言わずとも全力で出来得る限りの感染症対策を行っているはずで、「出したくて出している訳ではない」という事です。
もし感染症対策不足が指摘されるとするのならば、それは先に挙げたリソースの無い中での知識と経験不足か、職員不足や消毒備品不足の問題や、運営の感染症対策における予算など完璧にしたくても出来ない様々な要因がいくつも重なって感染やクラスターが起きているケースが必ずあるはずだと感じています。
こういった報道は、偏見や差別が今最も問題とされている中で、介護施設の職員の心情を理解し、報道のコメントなどでも慎重にするべきなのではないでしょうか。
現に今、感染症の影響で、介護現場からの離職が相次いでいるとの声も多く聞くようになりました。
決してこうした報道が、職員の介護離職に繋がらないように、新聞報道や政府などはコメントに対してもっと慎重であるべきで、真実を伝える中にも、神経をすり減らしている職員への応援に繋がる配慮を求めたいと強く感じています。
また疑問を感じるのは、この「介護職員のワクチン接種」に、訪問介護や通所介護などの在宅サービス職員が含まれていない事です。
実際のところ、施設内に感染症のウイルスを持ち込むリスクが最も高い感染経路は、入所よりも在宅サービスが多いのは明らかです。
自宅で生活されているご利用者やご家族のなかにも感染者や濃厚接触者がいる可能性は十分に考えられ、特養などの施設のみならず、感染経路の可能性が高い在宅サービスにも同様に優先的にワクチンを接種する事は、施設内に感染症を持ち込むリスクを防ぐ事に繋がると感じています。
他方、新型コロナウイルスのワクチン接種について、日本では早くても2月下旬から順に開始となる見込みと聞いています。
もちろん、ワクチンの確保には数に限りがありますから、現時点での接種の優先順位として、まずは医療従事者、高齢者、そして基礎疾患のある人間、および介護職員とされています。
しかし実際には、先にあげた医療従事者や高齢者の数もかなりの数であることから、介護職員が接種を受けるには予定よりもずれ込む可能性もあると感じています。
政府の会見では、今回の「介護施設の職員の集中的検査の実施」の方向性のなかで、「入所者」の命を守るためにも集中的な検査を行うと説明しました。
私としては入所者の皆さまは当然として、そこで神経をすり減らして働いている「職員」の立場や視点をも幅広く感じてもらいたいと思っています。
医療従事者と同様に、感染症対策の最前線で戦っているのは私たち、施設職員と介護職員なのですから。
WELFARE,NO LIFE!