ワクチン接種で試されるモラル

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
いよいよ国内において、新型コロナウイルスワクチンの接種がスタートしました。
 
現在日本政府は、ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社の製薬企業3社から合計で、3億1,400万回分の供給を受ける事になっています。
 
接種を受ける期間は、令和3年2月17日から令和4年2月末までとなっており、接種の優先順位は、医療従事者、高齢者、基礎疾患を持っている方、そして私たち介護職の順となっています。
接種回数は1回目の接種から3週間後を目安に計2回の接種原則とされています。

新型コロナウイルスのワクチンの接種で、たびたびニュースなどで話題となっているのがワクチンの「安全性の問題」です。
 
政府としては、これから安全性に関する項目や、先に接種した医療従事者などの接種後の状況を見て、丁寧な情報提供をおこなったうえで、本人の同意に基づいて勧めるとしています。
 
「ワクチンによる感染症予防の効果」と、「副反応のリスク」などについても、十分に理解したうえで国民に接種を勧めるものであり、決して同意や納得なくワクチン接種が行われることはありません。

一方、心配をされているのが、ワクチン接種において、「ワクチンの接種を職場や周りの人間が強要したり、接種を受けなかった人間に対する差別的な扱いのおきないか」という問題です。
 
国内で新型コロナウイルス感染が確認されてから、早一年が経過しました。
この日本においては、感染者への差別・偏見の問題が取り上げられ、最前線で戦っている医療従事者、さらに言えば私たち介護従事者への差別・偏見の眼が大きな社会問題になっています。

 
現在は、それらの解決に向けて様々な運動あれ(シトラスリボン運動)もされてきましたが、ワクチン接種が再びこのような、接種しない方への差別対象の引き金にならないように国民全体でのモラルの向上や配慮が必要であると思います。
 

淑徳大学・総合福祉学部の結城教授は、介護従事者に対して「あなたは新型コロナウイルスのワクチンを接種しますか?」との調査を実施しました。結果、今回のワクチンを「接種したい」と答えた介護職員は79.5%でした。
 
しかし一方では、ワクチンを明確に「接種しない」と答えた職員が2.6%「あまり接種したくない」が12.8%となり、合わせて、ワクチンに対して「約15%の職員が否定的な見解である」との結果がでました。
 
また「接種したい」と答えた職員の内訳でも、「積極的に接種する」と答えた職員は34.5%、「接種はしたいが、あくまで様子を見てから接種する」と答えた職員は45.0%であり、つまりワクチンについては、「まだまだ様子を見てから決めたい」という意見が多数を占めるという割合になっていることも見落としてはなりません。
 
加えて、今回ワクチン接種の優先順位から除外されている在宅系サービスの調査では、「接種したい」と答えたホームヘルパーは77.4%、ケアマネージャーは79.0%と高い調査結果となっており、「訪問した際の利用者や家族への安心にもなる」、「自分が感染を広げたくない」という意識が強く働いているものと感じています。
 
この在宅系サービスのワクチン接種の優先順位の除外については、すでに様々な団体から、政府に対して優先接種の要望が届いていますが、これはまた別のコラムで触れたいと思っています。

言う間でもなく、私たち介護従事者は一部の業務の覗いて、原則として人と関わらなくては出来ない仕事です。
在宅系の調査結果だけでなく、こういった高齢者や家族を守るために介護従事者としては、利用者や家族に迷惑をかけたくない意識のもと、「なんとしても打たなくてはいけない」と思っている職員も多いのではないかと思っています。
 
繰り返しますが、新型コロナウイルスのワクチンを「接種するのか、しないのか」これは、個人の選択の自由と、自身の責任の問題でもあります。自身の判断で世論に流されず、自己責任で判断すればいいと思います。
 

 
今回のワクチン接種で、再び国民のモラルが問われてきます。
 
ワクチンが支給される事は、新型コロナウイルス対策としては大きな前進である事は間違いありませんので、打つ事を選択しても、仮に打たない選択をしても、どちらを選んでも他人から迫害されないような、分断を起こすような風潮、世論形成だけは決して起こしてははならないと思っています。
WELFARE,NO LIFE!