在宅系サービスも優先接種へ

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
3月3日の参議院予算委員会で、「新型コロナウイルスのワクチン接種」に関する重大な方針が田村厚生労働大臣から発信されました。
それはかねてから各団体が、強く要望していた「新型コロナウイルスワクチンの優先接種の対象に在宅系サービスも含める」といった内容でした。
 
従来、介護施設では、施設と居住サービスでの接種が優先とされてきましたが、今回の方針で今後、ワクチンの需給状況や感染状況を踏まえて、いくつかの条件付きではあるものの、すべての在宅系サービスにも柔軟に接種の対応をできるように通知がなされました。

 
厚生労働省は、全国で支給されるワクチンの需給量や接種のスピード、ワクチンの量から「本当に必要性がある人間を先にまず接種させる」という基本的な考えを示していました。今回、田村厚労大臣は「医療系の病床のひっ迫」や、「介護を受けながら自宅療養を続けなければならない高齢者が増加してきた」ことを理由に、方針転換至ったと説明をされました。
 
しかし、今回の方針転換については、いつくのか前提や要件があります。
一つに、在宅サービスへの接種対応は、ワクチンの需給量と感染状況の実情によって、自治体が判断すること。二つ目に、優先接種を希望する介護施設・事業所には、「自宅療養となった感染者や濃厚接触者も避けずにサービスを提供すること」です。

当初、在宅サービスをワクチン優先接種の対象としない理由について、田村厚生労働大臣の答弁は、「介護施設の場合、たとえクラスターが発生しても、そのままサービスを提供していかなけらばならない。」一方で「在宅サービスの場合は、例えば違う事業者を使うなど別の対応もとれる」等と説明されていました。
このような政府の見解は、介護の現場とはかなりの認識の相違があると感じざる得ません。
 
実際に在宅サービスで陽性反応が出てしまった場合、受け入れ先の事業所の人員問題や判断もあるなか、別の事業y所への移行がスムーズに運ばないのが現実です。
 
一度、在宅サービスでコロナの陽性反応が出てしまえば、出した事業所も受け入れる事業所も難しい判断や混乱に陥るのは明白です。事業所や利用者を守るためには、「発生しても」ではなく、「絶対に出発生させない」事が最重要なのです。
 
今回厚生労働省が示した方向転換は、私の所属する全国老人福祉施設協議会など、様々な介護の「現場の声」を多方面からしっかりと届けることで、実現したものと考えています。その上で、制度政策、方針を決定づけている、介護を守る政治の力の意味合いを、私たちの現場の人間も認識しなければならないと改めて強く感じました。

さて、今回のワクチン優先接収の方針転換では、私たち事業所にも重要な判断と覚悟を迫られる事になりました。
 
先に記した通り、優先接種への対応要件には、「在宅系サービス事業者がワクチンを優先接種するならば、積極的に感染者や濃厚接触者と関わり、避けずにサービスを提供しなければならない」とされています。これには、陽性の当該高齢者だけでなく、その陽性高齢者に関わる家族が含まれています。
 
例えば、二人住まいの高齢者世帯で一方が陽性となってしまった場合、もう一方の高齢者は独居となり、生活がままならなくなって、濃厚接触者としていずれかの施設に行かなければならない、コロナ濃厚接触者の受け入れの問題。在宅サービスで利用者が陽性になってまった場合には、本人だけでなくその家族高齢者が利用していたサービスまでストップしてしまいます。もちろんその陽性の高齢者に関わっている家族そのものにも影響があるでしょう。例え一定期間が過ぎたとしても一度、濃厚接触者になってしまうと家族全体が一時期であったとしても社会的に孤立してしまう状態になってしまうのです。

これからワクチン接種が私たち介護従事者だけでなく、国民全体にとって大きな影響を与えると思いますが、陽性患者だけでなく、こういった陽性患者の家族や濃厚接触者をどのようにサポートしていくかが大きな課題になってくると思います。
いずれにしても、先月以降、新型コロナウイルスの感染者数は減少傾向となる一方で、亡くなった人の数が過去最多120人を更新しいる背景には、重度化しやすい高齢者、私たちが関わる福祉施設でのクラスターが相次いでいる事が理由として挙げられています。
そして新型コロナウイルスについては、現在多くの人の努力で収束に向けて少しずつ前進しているとは思いますが、コロナの第2波、第3波とも年末年始にかけてなど、季節の変わり目やイベントなどをきっかけを節目に人々の移動や油断から感染拡大の新たな波が起こっているのも事実です。
 
これから春になり暖かくなって気持ちも解放的になるなか、いかに今まで通り感染症対策を怠らず、第4波を決して起こさないように努力していく事が必要だと思っていますし、高齢者の生命を守るために私たちの役割は非情にこの転換期に重要なものになると認識しています。
WELFARE,NO LIFE!