現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
いつもこのコラムをご覧くださって頂き有難うございます。
このコラムも開始から129回を重ね、ご縁のある皆様方に毎週ご覧頂いて参りましたが、先週は事実上の休刊という事態になってしまいました。
既に、法人のホームページ上では公開しておりますが、私が勤務する法人の運営する特別養護老人ホームの職員に、新型コロナウイルス陽性者が発生してしまいました。
ここに改めて、ご迷惑をお掛けしてしまった利用者様、家族様、関係各位にお詫び申し上げると共に、陽性者の判明から、対応に当たってくれた施設職員には、心から感謝を申し上げます。
陽性が判明した4月17日(土)、施設から連絡を受けた時、「とうとう来てしまったか」という衝撃と、「対応を間違わず、冷静に対応せねば」という決意が、心の中で錯綜したのを覚えています。
そして何よりも「どうか、クラスターだけは起こりませんように!」と強く願ったのも覚えています。
結論から申し上げますと、すぐに保健所に連絡し、指示に従い対応したこともあり、当該職員以外は、利用者様、職員ともにPCR検査の結果は「陰性」であった事が確認されました。
その後も、施設内で発熱症状は確認されていませんが、2週間を観察期間と設定し、気を抜かずに今まで以上に感染症対策と予防の徹底をおこなっています。
また、抗体検査で陽性になってしまった職員ですが、近々退院の予定と聞き、一先ずは、安心しています。
もちろん、自宅療養もしくは待機期間が明け、復職可能な状態になったら、施設に復帰してもらうつもりです。
決して差別や偏見なく、これまで同様に、現場で活躍してもらえる環境づくりをして迎えたいと思っています。
こういった事象が起こってしまった場合、多くは「臭いものには蓋」をしたい気持ちが出る事も確かです。しかし、情報公開せずに後々の法人自体の信頼を無くしてしまう方がよっぽど大きな傷跡を残します。
その傷は、なかなか治らないで施設の評判として残り続けるでしょうから、施設としては初動ですぐに対応出来るように、連絡する際の文面や文章、ホームページ掲載の準備を感染が出る前から改めてしておいた方が良いと思います。
幸い、電話、文書、ホームページなど、様々な媒体で早期に発信したこともあり、現在のところ風評被害や差別などのクレームなどは確認されていません。
今回、新型コロナウイルスの陽性者が、一名確認されていまいましたが、クラスターを起こすことなく、影響を最小限で抑えられたのは、施設職員が日頃から感染症対策と予防をしっかりと行っていてくれたお陰です。
また、宇都宮市保健所の職員さんから、「介護施設の職員は、本当に皆さん頑張ってくれている。こちらもしっかりと対応します」と労いの言葉をかけて頂きました。
この様な事態が起こった時だからこそ、「介護施設の職員が日々どれだけの不安のなかで働いているか」を保健所の職員が理解してくれている事が嬉しく、本当に、涙が出そうになりました。
この度、私があらためて感じた事を2つ、お伝えます。
ひとつ目、いま日本は「コロナ過という、渦(うず)のなかにいる」という事です。
たびたび耳にする、第4波、第何波といった表現。しかし、これ波ではなく、日本全体を巻き込む「渦(うず)」となって、蔓延している状態です。
新型コロナウィルス感染は、引いたり押し寄せたりする「波」ではなく、気を許せば引き込まれる『渦』だと感覚を持っておかないといけないという事です。
そして、この渦はしばらくは収まりません。大きな渦となって、今この瞬間も蔓延している状態なのです。
ふたつ目、もし新型コロナウイルスに感染したとしても「誰も悪くない、誰のせいでも無い」という事です。
今回、たまたま職員に陽性反応が出ましたが、これがもし自分だったら…どれだけ不安でしょうか。
自分の生命と後遺症と、日常生活への影響、家族への配慮など、得体の知れない新型ウイルスに感染しながら、どれ程の不安のなかで過ごしているでしょうか。
最後に、あらためてコラムを読んで下さっている皆様に、日頃のご理解ご協力への感謝を申し上げます。
まだ気を抜けない状況が続きますが、何かありましたらこのコラムでも、包み隠さずご報告させて頂きたいと思います。
どうか、皆さん、健康にはくれぐれもご留意ください。