ワクチンと政府の動向について

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
ゴールデンウィークが明け、全国で高齢者の新型コロナウイルスワクチン接種が本格化してきました。
現在、日本でのワクチン接種率は、英オックスフォードの統計サイトでの調べによると、全日本国民の2.2%程度だそうです。
このような現状を踏まえて、これからの高齢者向けの新型コロナウイルスワクチンについては、菅総理は「7月までに高齢者接種を完了させる」と強い意欲を見せていますが、例えば、米国の接種率44.4%と比べると、接種状況の確保に遅れを感じてしまうところでもあります。
 

感染収束の切り札となるこの新型コロナウイルスワクチン。
これについて政府は、全国にある1741市町村のうち、約1000人が7月末までに高齢者接種を完了できるとも見通しを示しました。
 
しかし、実際のところ「7月末までに」国内高齢者に対してワクチン接種を完了するには、一日に約86万人以上のペースでワクチンを接種していかなけらばなりません。
 
国内においてのこのワクチン接種のスピード不足の要因としては、「国のワクチンの確保の問題」、「市町村ごとによって地元医師会との連携がとれていないケース」が指摘されていますが、日本の現状としては、何よりも「日本はワクチンを投与する医療従事者が限られている事」、「接種を受ける人数よりもワクチンを打つ人間が不足している」事の課題感が、挙げられています。
 
一方、米国では、7月末までにはワクチン普及率が9割にも達すると見られています。
 
米国では、医療従事者の他に、薬剤師やボランティアなどにも、ワクチンの投与が認められており、このことが、米国と日本のワクチン接種率に大きな差が表れた要因言っていいでしょう。
 
日本では、仮に、高齢者のワクチン接種が予定通りに行えたとしても、国内のワクチン普及率は28,8%に留まり、日本全体の集団免疫獲得までには、まだまだ時間がかかりそうだというのが今の現状です。

私が今回特に注目したいのは、私たち介護従事者へのワクチン接種です。
介護従事者については、これまで、様々な支援な支援が行われてはおりますが、依然として全国の介護現場での新型コロナウイルスクラスター報告は後を絶ちません。
 
厚生労働省が、先月4月28日に公表した最新のデータによると、クラスター発生件数は、高齢者施設:1317件障がい者施設:151件児童福祉施設:313件で、福祉施設のすべてを合わせると1781件にもなり、医療機関全体:1086件よりも多くなり、もっと驚くのは、報道で特に感染が多いとされている飲食店のクラスター:1216件をも上回っているという状況だという事実です。
 
この事実からしても、政府には高齢者のワクチン接種と同様に、いち早い福祉施設へのワクチン接種を積極的に進めていただかなければなりません。

続いて、先月には、政府専門家会議や菅総理から、経済財政に向けて気にかかるコメントがありましたので、記載しておきたいと思います。
 
4月26日の経済財政会議で、経団連の中西宏明会長ら民間議員が、今後の社会保障制度改革の方向性について、「いよいよ、団塊の世代が75歳に突入する」として、今まで「高齢者中心の支援が中心となってきた日本の給付の流れを、現役世代への負担軽減や支援強化に軸足を置くべき」と提言しています。
 
菅総理は、この提言に対して「現役世代中心という構造に見直す」とはっきり明言をされたのです。
 
こうした提言は、3年後の介護報酬改定に影響するもので、時期マイナス改定への布石と捉える見方も十分に考えられるのです。
 
コロナ過で、国の財政状況がかなり変化し、支出が増加している影響が、高齢者介護に決して悪い方向に向かない様、今まで以上にしっかりと現場の声を届けていく必要があるでしょう。
3年後の医療と介護の同時改正を見越した議論は、既にスタートしているのです。

「成長戦略・骨太の方針2020」で、前安倍総理は、当時の新型コロナウイルスの状況を踏まえ、「治療薬やワクチンが開発・普及するまでの間は、経済が直ちに元の姿に戻ることは難しいが、ウィズコロナを前提として、経済を持続的な成長軌道に着実に戻していく」としていました。
 
新型コロナウイルスは、時間はかかっても、いつかは収束していくはずです。
治療薬やワクチンが普及し、新型コロナウイルスが収束したその時こそ、日本の経済をはじめ、コロナ復興のいよいよの本番です。
コロナ復興の本番に対峙した時、はたして日本はどう変わっているのでしょうか。
コロナ過は、様々な部分で厳しさを示しすと同時に、新しいチャンスもたくさん芽吹かせていました。
「介護、福祉への考え方」についても、是非、新しい発想で次の時代に向けた準備とイメージをしていきたいものです。

WELFARE,NO LIFE