ワクチン接種についての課題

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
不安定な天気が続いていますが、皆さん如何お過ごしでしょうか。
国内で初めて新型コロナウイルス感染が確認されてから、早いもので1年5ヵ月が経過しました。
昨年の今頃は、新型コロナウイルス感染症の知識も乏しく、情報を少なかったことから、「マスクを着けながらの入浴介助」「食事や排せつ介助の方法」など、手探りの中で何度も何度も職員と話し合った事を思い出します。今日までコロナの脅威が続いてしまったことは、非常に残念ではありますが、今年は、ようやくワクチン接種がスタートし、少しは前進の兆しが見えて来そうな期待感で、コロナ過の夏を迎える事になりそうです。

さて、そのワクチン接種ですが、現在どれくらい接種が進んでいるのでしょうか。
 
6月14日に政府が公表した最新のデータによると、最初にワクチン接種が始まった医療従事者は、全体の8割(81.27%)が、既に、2回目の接種も終えているということです>/b>。また、全国の高齢者で1回目の接種を終了した方は33%で、これは日本の全人口の13.83%に相当するそうですが、先進国の中ではまだまだ低い水準と言わざるを得ません。
 
ワクチン接種については地域差があり、1回目の接種を終えた割合が最も多かった、つまり、最も早く地域住民への接種が実現したのは、佐賀県の49,67%だったそうです。次いで岡山県46,84%、鳥取県46,79%となっています。

ワクチン接種が進むのに併せて、各地の接種現場では、様々な課題も現場で起こっていると耳にします。
 
一番多く聞かれるのは、「ワクチン接種の予約とれない」という課題です。
特に、「電話を何時間かけても繋がらず、高齢者が疲弊してしまう」といった声を多く聞きます。
家族が電話やインターネットで予約を取ってくれる高齢者は良いでしょう。
もちろんそれも負担にはなりますが、深刻なのは独居高齢者のケースです。
 
ご承知の通り、我が国の65歳以上の独居高齢者の割合は、平成27年の国勢調査の集計では、全体の16、4%となっています。
今は、どうしても家庭内の事情があって、予約が取れない場合には、担当のケアマネージャー等が、予約を代行しているといった現実であると聞いていいます。
 
自治体によっては、ネット予約ができない、パソコンやスマートフォンを持っていないという高齢者には、自治体の職員が予約をサポートするサービス(茨城県、取手市)や、ワクチン接種が進んでいない高齢世帯には行政や保健所から直接高齢者世帯に電話連絡がいくなどして、接種予約の促進への配慮がなされている自治体も存在するようです。
しかし、こうした支援を、例えば、東京都や大阪など巨大都市や政令指定都市、中核都市で、きめ細かく実施するというのは、職員数や高齢者世帯の数から言っても、中々、難しいのではないでしょうか。

 
この「独居高齢者のワクチン接種もれ」が、国民全体の枠新接種進捗に大きく響かないように、今後、大都市の自治体における努力や配慮が問われていくと思っています。

また、私たちの高齢者介護施設サービスにおいても、ワクチン接種の課題が見えてきました。
 
例えば、全国の特別養護老人ホームでは、基本的に施設の入居者は、施設内での一斉接種が推奨されています。これは、入居者の移動課題やケアをする介護スタッフの労力を考慮すれば、とても有効だと思いますが、施設内でのワクチン一斉接種には、幾つかのルールが存在します。
 
ひとつは、施設入所者(特養等)で入所者に接種を行う場合、65歳未満の入所者には、接種順位の違いにより65歳以上の入所者と同時期にワクチン接種が受けられない事です。
 
特別養護老人ホームは、介護保険制度の性質上、65歳未満でも入所されている方がいらっしゃいます。
この方が、施設内の一斉接種時に、他の入居者と同時にワクチン接種が受けられないということは、ご本人の疎外感と不安感が増すばかりではなく、感染リスクや職員の手間という観点からも施設入所者という範囲内で同時期接種が望ましいと思います。
ふたつめは、他自治体に住所地がある入所者のケースです。先ほどのケースと同様に、一斉接種の対象から外れ、施設側が接種日程を組みなおすなどの業務負担が生じてしまうのです。
 
実際にワクチン接種が本格化しないと、このような影響には気づき難く、議論にならないのかもしれませんが、今後は実際に入所されている高齢者の気持ちや施設側の負担も鑑みて、出来ればこういったケースも十分に想定してワクチンの接種が進められていく事を望みます。

最後に、皆さんに声を大きくしてお伝えしたいことがあります。
6月15日に静岡市のグループホームで、入所者2人と職員3人のクラスターが発生しました。
 
このグループホームでは、6月2日に既にワクチン接種をおこなっていましたが、9日に職員が新型コロナウイルスを発症、その後に感染拡大が広がりました。
静岡市は、「ワクチン接種からある程度の時間が経過しないと、抗体が身体の中で十分につくられず、ワクチン接種からもしばらくは感染症対策をしてほしい」とのコメントを発表しています。
当初、静岡市保健所は、「コロナのワクチン接種によって一時的に免疫力が低下した影響」とコメントしていましたが、その後、コメントは訂正されました。
 
一説によれば、ワクチンを打ったとしても完全に抗体が出来るのは1週間後とも言われています。
やはり、ワクチンを打ったとしても決してその後も油断をせず、マスク着用、感染症対策は平常通りおこなった方が間違いはなさそうです。

WELFARE,NO LIFE
 
★かくた充由は、福祉と介護の専門職を応援しています!⇒福祉と介護の専門職応援サイト福祉勉強会