ワクチンの接種格差を考える

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
先の衆議院選挙前哨戦とも言われた東京都議会選挙が終わりました。さて、皆さんはこの結果をどう受け止めたでしょうか?
一つの争点として、新型コロナウイルスワクチンの接種状況がありました。
ご存じのとおり、新型コロナウイルスは、新たな変異種などが見つかり、未だ国内においても大都市を中心に蔓延状況が続いています。
その切り札とされているのが、新型コロナウイルスのワクチンというのは、周知の事実です。
では、この新型コロナウイルスのワクチン接種の進捗状況はどうなっているのでしょうか。

現在、65以上の高齢者が接種した人の割合が高い都道府県(2回目)の上位は、佐賀県、和歌山県、山口県、石川県となっています。
 
ワクチン接種がスタートした当初、接種には優先順位が設けられ、全国の市長村はこのルールに従って医療従事者、高齢者などの順に接種が進められてきました。
 
しかし、現在、ワクチンの接種券の発送状況や、配布状況などに格差が生じており、特に、64歳以下の希望者に接種が進んでいる自治体と遅れている自治体が明白になっている、所謂、国民全体に接種スピード格差が表れてきている実態となってきているのです。加えて、接種のスピードに関しては、都道府県だけでなく市町村によっても差が広がっていることが課題になっている事がわかっています。
 

ここで、ワクチンの接種券が早くから配られ、順調に接種が進んでいる市町村と遅れている市町村ではどのような違いがあるのかを検証してみたいと思います。
 
接種が進んでいる場所は、都道県や市町村が早くから地域の医師会や医師と相談をし、会場の確保などの準備を早い段階から進めることが出来たことが大きな要因となっているようです。
一方で、遅れが出ている場所は、国からのルールに忠実に従い、段階的に接種を進めていった結果、接種スピードが遅れたとようです。
一部報道によると一ヵ月もの違いが出てしまったとありました。
 
しかし、この早い、遅いを都道府県や市町村の責任だけにしてしますのは間違いでしょう。
 
ほとんどの都道府県や市長村では、忠実に政府が示したワクチン接種のルールに従って、準備を行うのが普通だからです。
地元医師会との関係性についても、大規模の接種会場の確保についても、地域差があるのは当たり前で、全国一律同じという訳にはいかないのです。


当初からコロナ対策に関し、唯一といって良いほどの期待を寄せてきたワクチン接種ですが、実際に、接種がスタートすると、政府が公言していた「一日に100万人にワクチンを接種」するには、当初予定していた接種順位のルールでは、到底届かない事が見えてきました。
 
このため、菅総理はワクチン接種の方針を転換、ワクチン接種を加速させるために「ルールの枠を超えて64歳以下や職場接種も同時に進めましょう」という事になったのです。
 
多くの人にワクチン接種が行き届く事は素晴らしいことです。
しかし、政府の方針に忠実に従ってきた都道府県や市町村ばかりを責めるのは筋違いな話です。
 
政府には、もう一度丁寧に政府の方針が変更になった理由を、都道府県や市町村に説明し、全国の自治体をしっかりと支援する姿勢が必要でしょう。
また、そのルールについては、国民にも正しく伝える必要があるのではないでしょうか。


職場、企業接種、大学など、若者や現役世代を対象としたワクチン接種が本格化してきた現状では、その企業規模や大学規模などによってもワクチンの接種格差が生じてもなりません。
例えば大企業などでワクチン接種で先行して、中小企業の従業員が置き去りになるような事があってはならないと思いますし、この点については、国はもとより、都道府県や市町村が丁寧に目配りし、連携して指導や支援を行う必要があるでしょう。
 
ワクチン接種の状況を見て取ると、政府はとにかくワクチン接種を早く国民にいき渡らせるためにスピード優先の方針を打ち出してきました。
それゆえに課題、問題点もはらんでいます。
特に地方自治体には、大都市との格差がはっきりと生じている部分もあり、打ち手の会場の確保、また行政の接種券の事務負担などは地方の小規模自治体にはハードルが高いと言わざる得ないでしょう。

コロナワクチンに対する風評や副反応については、まだまだ不安をもっている人間も多いと思います。
ワクチンを接種しない人のなかには、ワクチンへのアレルギーなど「打ちたくても打てない」人間も一定数いるのも事実ですので、決して打てない人間に差別や偏見がおこならないように願います。
 
また、政府はワクチン接種後の副反応などについて、正しい情報を発信・公開し、国民に向けて積極的に伝えることが重要で、それらが今後の接種率の増加、スピードに繋がるのだと思っています。
WELFARE,NO LIFE
 
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