現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
東京など大都市を含めた第5波と思われる全国の感染拡大が止まりません。
東京は31日、新型コロナウイルスの感染者数が、過去最高の4058人となりました。
7日間平均の感染スピードは前の週の2倍以上に速さであり、その感染者の割合は20代、30代、40代を中心とした世代が約6割から7割を占めていると言われています。
これまでは、重度化する可能性が高い高齢者層を中心としておこなってきたワクチン接種ですが、これからは若い世代のワクチン接種を普及することが必要でしょう。
しかし、ワクチンを接種したからといって決して感染をしないという訳でもありませんし、夏休みやこの後のお盆の時期などに全国に人流が増えることによって更なる蔓延が広がる懸念も十分に考えられますので、皆さんくれぐれも感染予防対策はしっかりと行って、健康に留意してください。
今後はワクチンだけでなく、新型コロナウイルスの治療薬が待ち望まれているところではありますが、現時点では急減に収束させる「特効薬はない」というのが本当のところでしょう。
今は一人でも多くの国民が次の希望となる治療薬の開発まで、辛抱し、絶対に命を繋いでいく。そして大事な人を守らないといけないという想いでこの時期を乗り切らないといけないと思っています。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は最近注目を帯びてきている「ヤングケアラー」について取り上げようと思います。
言うまでもなく、福祉という言葉は高齢者介護や障がい者に対してだけ語られるものではありません。
今私たちの社会では、子どもの貧困・児童虐待に加え、家族の介護やお世話を担っている18歳以下の若者、子ども達に注目が集まっています。
「ヤングケアラー」の取り組みで先進的な政策をおこなってきたのは英国と言われいます。
日本では、以前から「ヤングケアラー」という言葉は紹介されてきましたが、残念ながら具体的な対策や政策が実施されるまでには至っていません。
ここ最近の5年~6年で、「ヤングケアラー」が、決して特殊なケースではないということがわかってきたことで、国も本格的に「ヤングケアラー」調査に乗り出たところです。
厚生労働省が(2021年4月発表)文部科学省と連携しておこなった実態調査では、中学生の約5%前後、全日制高校の約4%前後が「ヤングケアラー」として家族や介護に関わっているケースが報告されており、これが原因で、学業の時間がおろそかになり、進学への影響や一方では不登校に繋がってしまったケースも明らかになっています。
対策の遅れは、日本の従来文化として、家のお手伝いや家事、家族や兄弟の世話といったものは一般的に「美学」として捉えられてきた背景が影響しているのかもしれません。
私は、日本人のつながり、特に家族としての助け合いの精神、それは国民性として非常に素晴らしいと評価されるべきものだと思います。
しかし、本来のその年齢でしか経験できない学業や、友達との親睦、将来への希望が、本人の意に反して時間と共に失われてしまう事は、その子供たちの希望を奪うだけでなく、人口減少社会の日本にとって国益を損なうことにもなりかねません。
深刻な状況になる前に社会としていち早く、こういった子ども達を救済し、希望をもって学業や進学、負担を減らせる方法を考えなければいけないと思います。
家庭内の問題は高齢者の認知症の問題と同じように、本人たちの訴えがなければ非常に「表面化しずらい」ものです。
当事者である子供たちにとっても、手助けを求めたことで「特別な眼で見られたくない」とか「家の中のことを話したくない」という子供たちは間違いなく存在すると思いますから、そういった子どもたちのポジションや尊厳をしっかりと理解し、子ども達が肩身の狭い思いをしないように相談しやすい環境整備、体制整備が必要だと思います。
現在各自治体には「ヤングケアラー」に関する相談窓口が存在してはいますが、子供たちがわざわざ市役所等の行政窓口を訪れるとはとても思いません。
地域として、子どもたちの情報を、民生委員や福祉協力員、地域包括支援センターなどが連携して、アウトりーチしていくことが大切です。
意図せず、「ヤングケアラー」になっている子ども達、またその自覚がない子ども達も含めて、地域や社会がいつでも助けを求められるようなメッセージを届けられることが、支援の第一歩だと思います。
幼い未成年の子供たちは、社会のしくみや行政や地域からの情報を知らず、頼る場所さえも「気付かない」といったケースがほとんどだと思います。
私たちの社会は興味のないものには、関わりたくないものには無関心といった風潮もあることも事実です。
他方で、社会福祉に強い関心を持ち、その意義を真剣に考え、行動し、福祉的活動を将来の職業にしたいとさえ、考えている子どもや若者もいます。
今回のブログで、私が「ヤングケアラー」を取り上げようと思ったのも、そんな若い世代から届いたメールがきっかけでした。大変嬉しくも心強い思いがしました。
私たち大人は、そんな若者からのメッセージを真摯に受け止める責任があると考えています。
ひと昔前、私の家のまわりにも叱ってくれたり、口うるさい「おせっかいな近所のおじさん」のような存在が最近はめっきり聞かなくなりました。
その時は口うるさく思ったものですが、今思えばあの頃はそういった地域全体で子供を見守る、育てるといった文化が根付いていたのだなと思い返します。
あの頃は良かったと振り返るわけではありませんが、これからの多様な社会問題の解決には、国や行政に頼る政策だけでなく、そういった従来の地域住民の日本人の美徳のスパイスが必要なのではないかと感じています。
WELFARE,NO LIFE
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