ヤングケアラーの支援策

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
新型コロナウイルスの感染拡大、蔓延が続いています。
東京では感染者は5千人の大台を超え、今後の予測では二週間後には1万人に達するとも言われています。
この時期は、熱中症や台風、自然災害等、様々な懸念がありますので、皆さん、どうかくれぐれもご留意ください。

今日は、前回に引き続きもう少し「ヤングケアラー」について触れたいと思います。
 
テーマは、これからのヤングケアラー支援についてです。
 
前回のコラムにも書きましたが、ヤングケアラーの問題は、それぞれの国によって捉え方や施策が違っています。
日本において「家族による家族の助け」「美学」と捉えられているものと異なり、特に人権意識の高い欧米諸国では「子供もすでに独立したひとりの人間である」という考えが確立されているため、早くから、国が主導して調査を進めながら学校とも連携して様々な対策と支援体制を整えてきました。
 
教育という分野においては世界的な先進国である日本でも、このヤングケアラーの問題においては、後手を踏んでしまっていたという感じが否めません。
 
しかし、ここ数年、政府はヤングケアラーの問題に対して本格的に動きを見せ始めました。
 
全国的な調査と共に、既に2020年に埼玉県では、日本初となる「ケアアラー支援条例」を成立し、18歳未満の子供たちを対象としたヤングケアラーに対する配慮も記載されました。

ヤングケアラーの問題の背景には、核家族化や女性の晩婚化なども関係してきています。
つまり、高齢出産が増加したことにより、18歳未満の子供が成人するまえに、その親が病気や要介護状態になるケースも増えてきているのです。
また、両親が離婚してしまっている場合においては、親が働きに出ている間に、その子供が家の事や増して兄弟が居る場合などは家庭内の世話をしなければ生活することがままならず、その使命感から貴重な勉強の時間や、友達との触れ合う時間もなくしてしまうのです。
 
つい最近も、6歳の妹を暴行死させた疑いで未成年の少年が逮捕された事件が報道され、私たちはヤングケアラーの問題根深さ深刻さを目の当たりにしたばかりです。
 
さらには、核家族でなくても祖父母の介護までしているケースもあるのですから、とても自分の時間を持つことは出来ず、将来への希望や夢も生活のなかで謀殺されてしまうのも仕方のない状況です。

各都道府県や市町村でもヤングケアラーの問題に対して関心が高まり、実態調査が始まっていますが、そのなかでわかってきたのはいち早く「発見すること」重要性です。
発見の方法は、本人自身からの告白であったり、友人への相談であったりと様々ですが、最近は学校を休みがちな事や遅刻や早退が増えたなど、家庭内の事を口にしたくない子ども達からの行動のサインを学校の教員が見逃さず救えたケースも報告がされています。
 
そして、子ども達がいかに自分達の環境が厳しい環境であるかを認識し、周囲に悩みを打ち明けられる体制をつくってあげる事ができる環境づくりが重要とされています。
 

ヤングケアラーの支援策で先進国とされるイギリスでは、率先して実態調査がおこなわれ、1995年には支援策であるケアラー法が制定されました。
 
国による子ども達に対しての教育、就労、財政援助がおこなわれ、学校においても子ども達と教員同士が情報交換などの交流を図り、そこに地域を巻き込んだNPO法人、地域ボランティアなども加わり、包括的に子ども達をサポートする体制をつくっているのです。
 
ここで注目すべきは、公的な支援制度と子ども達と大人たちとの「信頼関係」でしょう。
 
孤立することなく、教育を受ける権利や時間が満たされて、未来に道が開けたなら、必ず将来「頼れる大人」として社会にその力を還元してくれるはずです。
福祉とは未来への「礎づくり」でもあるのですから。
WELFARE,NO LIFE
 
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