介護職員の必要数を考える

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
菅首相の突然の「総裁選不出馬」を受け、マスコミ各社は、政局一色の報道合戦になっています。
しかし、我々の生活においては、次期首相候補となるべく、自民党総裁も大事ではあるものの、やはりコロナ情報とコロナ対策が今後どうなっていくのか気になるところです。
 
先月25日、厚生労働省における調査で、高齢者施設における新型コロナウイルスのクラスタ―件数が再び増加傾向にある」ことがわかりました。
 
大きな要因は、急速に猛威を振っている、変異ウイルス「デルタ株」の影響です。
このデルタ株は報道の通り、いままのコロナウイルスのなかでも感染力が強く、特にこの時期お盆明けに全国で人流が動いたことにより猛威を振っていると推測されますが、特に今までのコロナウイルス対策との大きな違いは「ワクチン接種の影響で、発見が遅れがちになる」ことです。
 
既に私たちの職種では、ほとんどの介護職員はワクチン接種をなんらかの形で受けていると思いますが、ワクチンの免疫力の強化のため、以前のコロナウイルス罹患時に比べて熱が出ずらく、「ほとんど自覚症状が出ないままで感染が広まってしまった」というケースの話を聞きました。
 
各施設において、感染症対策は万全におこなっているものと思いますが、あらためて職員各自の体調管理と発熱の報告や、風邪などの症状などについても、あらためて疑ってみないといけないような難しい状況になっていると思います。
 
ワクチンの免疫力も、接種後三ヶ月経過後に4分の1になるなどの報告もされており、以前として気が抜けないことから各施設の職員の心のケアも大切になってくると思いますので、再度の基本的な対策と注意喚起が必要だと感じています。

さて、前置きが長くなりましたが、今日は将来的な「介護職員の必要数」について考えたいと思います。
 
私たち介護業界はいま大きな節目にあるのは間違いありません。
その大きな要因としては、人口減少による国全体の収益の減少と真逆に私たちにかかる社会保障費や介護給付費が膨張を続けているからです。
先月31日に発表された2019年度の社会保障費陽統計では、年金や医療、介護などの全体の費用は123兆9241億円になったことがわかりました。
なかでも介護については、他の分野の年金や医療と比べても伸び率が非常に大きく、また介護保険の費用額10兆7812億円で、これも前年度と比較すると3493億円の増加しています。
 
今後もこのペースで介護ニーズが拡大するとなると今後も給付費の急速な膨張は免れません。
 

この問題と並行して介護業界の大きな問題となっているのが、言わずと知れた「人材不足と確保の問題」です。
 
厚生労働省が発表した予測では、直近でいうと2023年度まで必要な全国の介護職員数は、約233万人と言われており、将来2040年度には、全国で280万人の介護職員が必要になると予測されています。
2019年度の全国の介護職員数は、約211万人となっており、この2019年度からの必要数を予測すると、2023年度までも、プラス22万人が必要とされ、2040年度までには69万人もの介護職員が必要になると考えられています。
 
団塊の世代がピークを迎えると言われている2025年度までも、現在の職員確保のペースだと既に10万人の職員数の不足がされるとも予測されており、これは全国の介護施設の確保対策だけでなく、国の制度支援なしではなし得ない状況なのは明らかで、ここ数年、急ピッチで「他分野からの介護職への参入の補助金」など、介護人材確保に関する政策が盛り込まれていく流れになっているのを感じています。

政府としては、2018年度の骨太の方針などで打ち出され得た「外国人労働者の受け入れ拡大」などで技能実習生や、昨今では特定技能での労働者の確保なども進んできましたが、これらの制度についても介護業界で理解をされたうえで全国的に進んでるとは思えません。このなかで期待される特定技能実習制度については、技能実習生から3年で最終試験がおこなわれて以降することが可能ですが、同時に日本人と同様に外国人に労働力として「転職の自由」が付与されるので、施設側としては、今まで以上に日本語教育のサポートや資格取得のサポートなどに力を入れないと、大都市圏などに外国人材が持っていかれる危険性もあると感じています。

人口減少や人材不足、少子・超高齢化問題は、自然災害である地震などとは違い、数十年も前から既に予測できてきる問題です。
 
あらためてですが、私たち介護業界は他産業と比べても「競争力」、「発信力」がいまだ足りていない、成熟していないのは今までの経過を見て明らかです。それは制度方針に従っている社会福祉事業の在り方も要因としてあると思いますし、行政などのしがらみも関係しているのも理解しています。
しかし、これ以上政治力を無視して個人の施設だけの努力だけではどうにもならない時代に突入しているのも事実です。
新型コロナウイルスの影響でこれからさらに厳しい予算執行がされることを予想すると、次回の介護報酬改定までのこの数年がまさに正念場、「質の確保」という名目で、介護現場は負担を強いられるだけで、具体的な支援策が現場職員に届かない事も十分予想されます。
 
「介護は現場と制度で成り立っている」後手後手になって、あとで後悔しても始まらない
コロナ禍で得た教訓を私たちはまた再認識しないといけないと感じています。
WELFARE,NO LIFE
 
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