特定技能実習生制度について

コラム

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走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
大きな注目を集めた自民党総裁選が終わり、激戦を制した新総裁岸田文雄内閣が誕生し始動しました。
いろいろなご意見はあるでしょうが、是非、頑張っていただきたいと思います。
 
私としては、短い期間ではありましたが、前総裁であった菅義偉総裁に「お疲れさまでした」と言いたいです。
私が立候補した前回の参議院選挙でお世話になったことはもちろん、任期中にご尽力頂いた「介護報酬のプラス改定」「かかり増し経費、慰労金の支給」など、コロナ禍のなかの対応で非常に難しかったとは思いますが、重要な仕事をおこなって頂きました。
 
新総裁に選ばれた岸田文雄総裁は、引き続きのコロナ禍のなかで政権を引き継ぐことになるわけですが、私が注目したのは、9月29日の記者会見で「介護職の賃上げについても力を入れるとの意向」を表明したことです。
 
記者会見のなかで岸田総裁は「看護師、保育士、介護士の方々の給料は、仕事の大変さに比べて低い。こうした方々の給料は国で決められるものであるから、国が率先して公的価格を適正に引き上げる事を考えたらどうか」とコメントしました。
そして「それらの職種の給与の引き上げは、呼び水としてその他、民間の給料の引き上げにも広げていくことができるのではないか」としました。
 
当然今後、財源の確保や、財務省との対話など実務的に今後ぶつかる壁は有ると思いますが岸田総裁のこの所信の表明を期待して待ちたいと思います。

 
さて、今日は2019年4月に新設された入管法、特定技能実習生制度について触れたいと思います。
 
この特定技能実習生制度(以下特定技能)における就労ビザは、日本国内で「労働力の確保」を目的に新設されたものです。
 
これまでの技能実習生との一番の違いは、技能実習生は「国際協力」とあくまで「技能を母国に持って帰ること」が目的であり、どのような場合であっても「労働力」を目的としてはならないという事です。
 
私たち業界が、将来に向けて深刻な人手不足を予想されているのはご承知のとおりですが、現在日本では介護や福祉だけでなく国内の少子高齢化や若者の一次産業などの就労の減少により、人手不足を理由に仕事が維持できない業種が幾つもあります。つまり、将来的に消滅してしまう可能性がある業種です。
 
これらに対応するための法律として、特に人手不足が深刻な14業種を対象に特定技能実習生制度が創設されたのです。
 
注目すべきはこの特定技能、1号と2号があり、特にこの2号の特定技能については「日本に在留できる期間」が、「上限なし」ということです。

 
但し、この2号の要件は1号の「ある程度の技能」と比べて日本人に対して指導できるほどの「熟練した技能」が求めれられるものであり、またその職種も現代会では、建設業や造船業に限られていますので、今後はこの要件が介護などの特に人手不足が深刻な他の業種に拡大する可能性も十分あると見ています。

そしてこの特定技能、、私たち介護従事者にとって注意しないといけない事もあります。
 
それは、特定技能は技能実習生と違い「転職の自由が認められている」という事です。
 
技能実習生は、実習中はその実習中の施設、職場から途中で離れること、変えることはできません。それは、職場を変える事で技能を身に着けることに差しさわりがあるからです。
しかし、特定技能は「労働力」が目的でありますから、その要件はなく、日本人とまったく同じく、転職の自由が可能となっているのです。
 

私の施設の技能実習生もそうですが、技能実習生がその期間を終えたあと、母国に帰るか特定技能に移るかは本人の意思の確認が必要です。
そのまま特定技能に移る場合は、その実習先の施設がそのまま「労働力」として継続して施設に残ってくれるのか、または他県の大都市などの給料や待遇が良いところに職場を変えてしまうかはそれぞれの施設の努力次第といったところも大きいでしょう。
 
特定技能は、日本人と同じ職場の仲間として、共に働く仲間となる存在です。
施設として資格取得や日本語教育のサポートなど必要な支援をおこない、人間関係なども同様に応援することも必要だと思います。
人材に関する事は私たちにとって永遠の課題ですが、「定着率をあげていくために何ができるか」をこの特定技能の制度からももう一度見直さなければならないと私も感じています。
WELFARE,NO LIFE
 
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