現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
さて、一段と肌寒くなった今日この頃ですが、皆さん如何お過ごしでしょうか。
既に、お伝えしている岸田政権における介護職への給与の引き上げは、先週の19日に閣議決定され、、その財政支出は55.7兆円と過去最大規模となりました。
介護職の給与は、来年の2月から次額で3%程度の引き上げで、額として9000円となり、今後はその配分方法などについて調整を重ねるとしています。
介護業界にしてみれば、既存の職員はもとより、人材確保にも十分に影響することなので大きな注目をもって、状況を見守っています。
職員の給与の改善としてまず思いつくのは、平成29年12月に施行された特定処遇改善でしょう。
特定処遇改善は、「技能・経験のある介護職員の処遇(給与)を目的に、介護報酬をさらに加算して支給する制度」として、制度設計がおこなわれました。
いう間でもなく関心の高かったこの制度ですが、今、この制度を振り返ってみると、課題点や問題点も目につきます。
その「配分方法」や「支給方法」は、その代表的なものではないでしょうか。
特定処遇改善は、「技能・経験のある介護職に対して手厚く支給すること」になっていますので、当然この説明をすべての職員に説明、理解してもらわなければなりません。
また、その配分のルールはその施設事業所に委ねられているため、職員間での支給方法や支給条件、支給額のバランスを取って給与引き上げを行わないとかえって職員間で揉めてしまうというケースも出てきています。
要件としてこの特定処遇改善に当てはまらない職員には支給がされない制度となっていますので、施設の事務員などの他職種には給与引き上げの対象にならず、その分、その要件に当たらない職種に対して施設事業所の持ち出しが増えてしまったという話も聞きます。
私が注目するのは、今回の介護職への9000円の給与の引き上げにも、特定処遇改善と同じような問題がつきまっているということです。
今回の給与の引き上げも、現在のところ職種が限定されており、あくまで介護保険制度内の職種にしか給与の引き上げの対象とならず、例えば特養の介護職に給与の引き上げは行われても、介護保険制度外の養護老人ホームや経費老人ホームで働いている介護職には、給与引き上げは対象とならないなど問題も発生してしまい、良かれとしてスタートした待ちに待った制度自体がかえってその施設事業所の職員の定着率や不協和音を招いてしまう危険性があるものとなってしまいます。
配分対象については、今までも議論が行われてきましたが、今回の給与の引き上げについては、ケアマネージャー協会など他団体、他職種からも要望や声明が打ち出されてきており、今後十分に注意、注目をしていかなければならない部分であると思っています。
言うまでもなく、国内の事業所は単独事業所だけでなく、ひとつの法人でいくつかの事業所を展開している施設もあり、またそもそも介護の仕事はひとつの事業所においても様々な職種によるチームケアが基本です。
事業内容、公平性を欠く職種に限定された給与の引き上げは、これから専門職を入れた政府の十分な納得がいく議論が必要だと思います。
もうひとつ、これからこれだけの財政出動を政府が行うという事は、先に控えている介護報酬改定にも大きな影響を及ぼすのではとの懸念もあります。
コロナ禍で積極的な財政支出が続いている今、どこかのタイミングで財務省が引き締めにかかってくることは予想できることでもあり、今回の給与の引き上げなど、こういった内容も今後の議論のテーマに充分影響を及ぼすことにより、今後の介護報酬のマイナス改定や、今後の利用者負担のアップ、ケアプランの有料化など我々にとって重要な給付費の抑制や徴収に転じてしまうのではないかとの心配ごとも付きまといます。
後藤厚労大臣は、この件について「(今回の支援について)これで十分だと思っているわけではない」と説明しています。
今後、安定して介護職の皆さまが安定して、その介護の仕事の「処遇」に見合った給与にしていくためにも、給与の引き上げと同時にしっかりと「現場の声」を届けていくことがますます重要な時期にきていると思います。
政府のコメントとして、「今回の内容を介護職以外の他職種にも広げる可能性もある、検討している」としていますので、私も老施協の関係者として引き続き声をあげていきたいと思います。
WELFARE,NO LIFE
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