「ガラス越し面会」から感じた事

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
日本国内のワクチン接種率は、第一回目が78.7%、第二回目が76.5%となり(11月26日現在)、初期の混乱や不安を乗り越え、結果的に他国のどの国より高い接種率を誇る結果となりました。
厚生労働省の発表でも、直近の高齢者施設のクラスター発生件数は、6週連続で軒並み一桁台、全国的にも感染者数は低水準のまま維持している状況となりました。
これから本格的なインフルエンザの季節を迎えるこれからの季節、12月からは第三回目のブースター接種も各都道府県で開始される予定となっており、このまま気を緩めずに引き続き、感染症対策を徹底していかなければならないと思います。

新型コロナウイルスの蔓延から約二年近く、高齢者施設では全国的な感染とクラスターの発生により、外出はおろか利用者様とご家族との面会も叶わず、パソコンやタブレットなどを活用したリモート面会を実施している施設がほとんどではないでしょうか。
こうした「直接的」にお互い会う事ができないストレスは、ご利用者だけではなく、ご家族としても大きなストレスであると思います。
 
相互のつながりや交流が不足したことによる「生活の質」自体も大きく低下してしまう原因となってしまっているのは間違いありません。
 

間違いなく、これからの季節、引き続き基本的な感染症対策をしていくのは私たちの使命でもありますが、同時にご利用者の「生活の質」を維持し、今の状態よりもさらに向上させるためにも、全国的にも今までのリモート面会から「ガラス超し面会」「直接面会」に移行している施設も増えていると思います。
 
もちろん施設によって考え方はそれぞれであり、私の知り合いの施設などでは、ご家族のワクチン接種済みを要件にご利用者とご家族の「直接面会」を実施している施設もありますし、「ガラス超し面会」に移行した施設も多い状況となっています。
 
一方、一度施設内でコロナの罹患が確認されたケースでは、やはり面会者の来訪により慎重になってしまうケースもあり、これだけ感染者数が減少した今でもかなり厳しく面会制限を設けている施設も一部に有りますが、でもそれは致し方ないことだと私も思います。

私の施設でも、やはり今まで罹患者が出た経緯からですが慎重に、今月11月から「直接面会」は出来ないまでも、「ガラス超し面会」をスタートをする事にしました。
 
ほぼ二年ぶりに再会した時の入所しているご利用者の嬉しそうな表情と、ご家族のホッとしたような笑顔を忘れることができません。
 
ご家族にみたらこの期間どれだけの不安があっただろうか、どのように生活し、例えばリモートで画面越しに会っている事ができていたとしても、ガラス越しとはいえ直接会う事ができたときの喜びと安堵感は、たぶんそれは自分が家族であるとすれば、想像を超えた嬉しさであったのだろうと思います。
 
世界的に一気に加速したICTやデジタル化ですが、やはり直接的に「会い」、「触れ合う」、「会話すること」にはやはりかなわないなとあらためて再認識しました。
 
コロナ禍のなかで「人と人のつながり」がどれだけその利用者様と家族との絆や、生きがいや喜びからの「生活の質」に影響するのだと、この「ガラス越し面会」から気付く事ができました。

厚生労働省も一定のルール条件を付して、面会方法などにも緩和し、対面実施の検討を促す方向で全国に通知を出しました。
今回のコロナ禍で私たちは、今まで、そして未だ想像を絶する不安と戦っていますが、そのなかで感じた介護の意味や、生活の質などに気付き、見直すきっかけとなったとも思っています。
 
これから、政府は「介護のデジタル技術の積極的活用」に意欲を見せ、人材不足に対応するテクノロジーの導入が進められていく事と思われますが、本来「人と触れ合い、関わり合う」ことでしか成り立たない、介護、福祉の仕事のかけがえのない大切さを、私自身もう一度考えたいと思っています。
WELFARE,NO LIFE
 
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