現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
今日は介護現場の人員配置基準4:1について書きたいと思います。
昨年の12月21日、日本経済新聞に「介護現場の配置基準4:1は可能」との記事が掲載され、業界で大きな話題となりました。
現在、介護現場の配置基準は国の基準で3:1とされています。
しかし実際は、サービスの質と安全を担保するためにより多くの職員を配置している施設がほとんどで、現実には2:1の割合(利用者様2人に対して職員1人)でサービスを行っている場合が多いのではないでしょうか。
この問題に関しては、令和2年2月19日の政府の「全世代型社会保障検討会議」の「介護の生産性向上」がテーマとなる業務効率化のなかでも触れられ、「人員配置基準の緩和」を求める声について、SOMPOホールディングスの櫻井謙吾CEOからも「4:1の人員配置を実現すれば2倍のマンパワーを創出できる」、「施設を今の半分の人数で運営するような現場革新と規制緩和を進めるべき」との意見が出されました。
また、「現場を全く新しい体制に変革させる必要がある。事業者が現行の人員配置基準に捉われずに、生産性向上に取り組める環境を整備すべき」と注文されました。
確かに、これからセンサーやテクノロジー、ICTをうまく活用して、厳しい人手不足の中で現場の質を高めていく事は必要でしょう。
実際にそれが実現できている施設も全国にはあるのかもしれません。
しかし、そのようなイノベーションの実現のためには、まず今の現場職員の業務負担の軽減を実現し、ケアの質の向上があるべきだと思いますし、すべて施設においてこれを当てはめるのであれば、国から全国の施設への設備投資の補助金なども拡充しなければ実現しないと思います。
そして何より、意見を出す前に「介護現場の実態」を良く知る必要がありそうです。
全国老施協としても、この4:1の議論に対しては、政府の規制改革ワーキンググループでのヒアリングで会長から直接意見を申し上げ、介護福祉士会などの団体からも相次いで反発の意見がまとまって出ている状況です。
この一件は、介護現場のICT化の実現により、生産性向上ができる、そして生産性が向上すれば今回の配置基準を見直しができて、最終的には次回の介護報酬総額の抑制を政府としては目指しているのではないでしょうか。
繰り返しますが人員配置基準4:1という理想は、全国の本当に一握りの施設でしか実現できませんし、今回、声をあげている民間の施設でそれが実現したからといって、全国の介護施設すべてにそれが当てはまるとは到底思えません。
もちろん、生産性の向上のために施設としてはICT化に向けてしっかりと努力はしないといけないでしょう、それは怠ってはなりません。
しかし、理想だけで現場の職員を追いてけぼりにしたこのような報道は決して良くありませんし、こういった時にこそ私たちの現場の意見を打ち出す老施協のような職能団体の意義があると思っています。
このような報道を打ち消すためにも、現場の意見を力強く届けるためにも私たちの世界には政治の力が不可欠なんだという事もご理解頂きたいと思います。
私が所属している全国、都道府県の老施協には顧問として参議院議員のそのだ修光先生がおります。
政府は介護現場の意見を直視しなければなりませんし、無視できません。
このような議論は今後も間違いなく起きるでしょうし、これから介護・福祉業界は現場と政治とすべてが総力戦となってこれからの局面に向かっていかなければなりません。
そうしなければ職員の業務負担も減りませんし、サービスの質の向上どころか、今回のような介護現場にとって真逆の方向に進んでしまうことでしょう。
声をあげる、行動する、もし身近なところで協力できるような機会があるとすれば是非このコラムを読んでいる皆さまには、自分自身のため、利用者様のため、その様な場面では是非お力を貸して頂きたく思います。
依然として、オミクロン株が猛威を振るっています。何卒皆様も健康に留意され、今週も良い週となりますように祈念致します。
WELFARE,NO LIFE!
★かくた充由は、福祉と介護の専門職を応援しています!⇒