介護と福祉の価値

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
皆さんは「Well-being(ウェルビーイング)」という言葉をご存知でしょうか。
介護や福祉の仕事に携わっている皆さんには聞きなれた言葉かもしれません。
今日では、介護や福祉の分野のみならず、社会の様々なシーンでこの言葉が聞かれるようになっている気も致します。

Well-being(ウェルビーイング)とは、身体的、精神的、社会的すべてが継続的にすべてが満たされた状態、つまりその人にとって最も幸福な状態の事を指しています。

これとは別に、毎回私のコラムの末尾につけている「well-fare(ウェルフェア)」という言葉がありますが、これは福祉や福利厚生といった意味、日本ではどちからというとこのwell-fare(ウェルフェア)という言葉の方が福祉というと馴染みがある言葉なのかもしれません。
 
日本人の「幸せ」の捉え方に関しては様々あり、一つには、1958年からの30年間、私たちの国では戦争や貧困が無くなり、また医療も発達し、日本人一人ひとりGDP(国内総生産)が爆発的に上昇したこと。
そしてもう一つには、健康面においても長寿化したことなどから、専門家の間ではこの日本の30年間を「黄金の時代」と呼ぶ研究者もいるそうです。

では、その黄金の時代を謳歌し、経験をした私たちの住んでいる日本はいま本当に「幸せ」な状態にあるのでしょうか。
 
2022年で10回目となる国連の「世界幸福度ランキング」では、5年連続で1位がフィンランド、2位はデンマークで、アメリカは16位、日本は何と54位と世界のなかでも決して高い順位とは捉えられてはいません。
また一方で、「生活満足度とひとり当たりの実質GDPの推移」については、これだけ生活が豊かになって健康が得られたとしても、専門の研究者の発表では、結果的に「日本人の生活満足度は大きく変わらなかった」という報告がありました。
 
では、私たちにとって何が「幸せ」なのでしょう。
ここ最近の研究報告で、興味深い記事を見つけました。

ひとつ目に、日常生活のなかで人と人との会話で「笑い」があること。
これは雑談のなかで生まれる「笑顔」の事で、テレビや漫画を観た時に感じる瞬間的なhappiness(ハピネス)ではなく、継続的、日常的である事を指しているそうです。

日常生活の会話のなかで笑う事とは、本人の「幸せ」にとってとても良いという事です。

ふたつ目は、自分の周りの環境、他社から得られる「信頼」です。
自分以外の第三者から、「ありがとう!」や「感謝」など、普段から敬意をもって接してもらっているかどうか。それを実感しているかどうかも本人の「幸せ」の感じ方に大きく影響することがわかっています。

そして、最近わかった人間にとって「幸せ」を感じやすい最も影響のある体験とは、その人の人生の締めめくり方、つまり「終わり方」が「クライマックスがどう幸せであったか」という事にも注目が集まっています。

人間は人生だけでなく、普段の生活のなかでも最後の印象というものが一番強く残ります。
その最後の体験によって感覚的に自分の評価が決定されてしまう傾向にあるのです。


例えば、今までどんなに苦しく厳しい人生を送ってきた高齢者でも、最後の過ごし方、体験によって「幸せ」の評価が決まってしまうのです。
そしてこれが今日のタイトルである「私たちの介護や福祉の価値」だと思っています。
 
逆にこのWell-being(ウェルビーイング)にとって一番最悪な事とは何でしょうか。
それは恐らく皆さんの想像通り「孤独」です。
 
このコロナ禍の状況はそうゆう意味では本当に最悪の状態だと言えますが、高齢者の方が配偶者が無くなったり、知人、友人から離れたり、家族と会えない状態になったり、そういった状態は社会全体にとっても最も不健康な状態であり、私たちの介護や福祉という仕事が「人と寄り添う仕事」である事自体、社会全体にとってもとれも価値のあることであるし、しいては高齢者の方の健康状態の維持に繋がる、生産性、経済にも影響する価値のある事なのです。

私たちの介護や福祉の仕事は、高齢者の皆様と関わり、支援サービスを行う事で、今までどのような人生を送ってきた方であろうとも、「今が一番幸せだ」と言われるようなサービスを目指す事。

それが私たち介護や福祉の仕事にしかできない醍醐味であり、最大の価値だと私はずっと信じています。

WELFARE,NO LIFE!
 
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