現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
前回から引き続いて、「2024年度介護保険制度改正」についてです。
「要介護1,2の保険外し」についてというタイトルとは、介護保険認定の5段階の要介護1と2について通所介護、訪問介護を要支援1・2と同様に、全国の市長村が運営している「総合事業」に移管するという内容のものです。
背景としては、急速な高齢化から、今後膨らみ続ける介護費を抑制して、現役世代の負担を軽くすることがあげられています。
また、26日の加藤厚労相が見解を示したように「制度を持続可能としていくために、給付と負担のバランスを図る必要がある」という事が主な理由に挙げられています。
当然この方針の実現については、財務省が強力に働きかけているのは間違いないでしょう。
特に、移管を予定している「総合事業」については、制度として今現在も全国で満足に稼働しているとは決して言い難く、私が宇都宮市の市議会議員をしていた頃でも数多くの課題点が議論として挙げられていました。
通称「総合事業」は、正式名称を「介護予防・日常生活支援総合事業」は、全国の市長村が運営する地域支援事業を意味します。
2015年4月がスタートであり、順次全国の市長村が段階的にこの総合事業に移行してきたという経緯があります。
具体的なサービス内容は、訪問型サービスと通所型サービスとに分けられ、報酬、基準についても各市町村の判断であり、またそのサービス提供者の主体はその地域の住民、ボランティアなど多様な人材の登用が期待されているところです。
しかしこの総合事業、いまの全国の現状はというと訪問型サービスで61.1%、通所型サービスで69.4%の整備状況です。
つまり7年経過している現在においても、いまだ全国で共に3~4割の整備が遅れて状況となっています。
地域の高齢者は益々増加してゆきサービスの対象者は増えていくでしょう。
しかし、その高齢者の皆様を支援する肝心の地域の住民やボランティアの需要と供給のバランスが不安定なのです。
まして、そのサービスの担い手となる住民、自治会のマンパワー不足などの地域格差問題と市町村によって決められているそのサービス報酬についても、のきなみ推進していくには「とても満足出来るものではない」というのが定説となっています。
これは、全国の市長村によって支払える報酬がバラバラであり、将来的なことを考えると市町村としても大きな予算取りは控えようという意識が働いていると容易に予想できます。
総合事業は考え方は理解できるものの、どうしても全国でブレーキがかかっている状態となっており、さらに輪にかけてここに要介護1と2の要介護者が雪崩れ込んでくる
ことを考えると、とても受け皿として市町村がこの制度そのものを支えきれるとも思えません。
今の段階では、あまりにも未成熟、最終的には全国の市長村、その地域の高齢者の皆様にとって「絵に描いた餅」になってしまうことが予想されるのではないでしょうか。
私が宇都宮市議会で働いていた頃も、ただでさえ複雑なこの総合事業をいかにして地域の皆様に理解してもらい、「サービス提供の担い手を育てていくか」という事は宇都宮市としても大きな課題でもありました。
この状況のまま、この総合事業に要介護1と2の皆様が対象となるというのは、住民の方への説明理解も不十分であり、混乱をまねく材料としてあまりにも不安な内容で、いまや地域や現場側の人間の私としては「要介護1,2の保険外し」は「まだ早急である」としか言いようがありません。
今回、この議論については私たち全国老施協としても介護サービス事業者や専門職8団体を含めて、反対の要望書を厚生労働省に提出しておりますが、本当にこのような時にこそ、「業界に代弁者たる国会議員が不在」という事はあらためて残念としてか言いようがありません。
いずれにしても次期改正
が全国の介護従事者にとって大きな分岐点
になることは間違いありません。
自分としてもご利用者さまのやご家族、地域やスタッフの現場の声に耳を傾けて、今自分の出来ることをしていきたいと思っています。
WELFARE,NO LIFE!
★かくた充由は、福祉と介護の専門職を応援しています!⇒