このコラムの願い。

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
「角田さん、あきらめなくていいんですか?」これは、私が三年前に参議院選挙の全国行脚をしているときに、とある県の特養に勤務する女性スタッフの方にかけられた言葉です。
この時の状況は、今でも鮮明に覚えています。
 
そのスタッフは、施設の給与や処遇、業務内容について、普段から色々な悩みを抱えていました。
そして、冒頭のセリフは、介護に関わる制度すべての問題に対して向けられたものでした。
 
大好きな介護の仕事を辞めたくはないが、家庭の事情や様々な要因が重なり、もしかしたら介護の仕事を辞めないといけないかもしれない。
親しくなったご利用者やスタッフとも離れたくないし、介護以外の仕事に転職するにしても今まで介護職一本で取り組んできた今となっては不安で仕方ない。
 

「なぜ、どうしてこの介護の世界はいつまでも変わらないんですか?」「どうして私たち現場の声はいつまでたっても国や行政に届かないんですか?」「貴方を応援したら何か変わるんですか?」
 
真剣な眼差しで、こう問いかけられたのは、選挙の全国行脚47都道府県の3分2ほどが終わっていた頃でした。
正直、一年間に渡る活動で心身ともに疲れ切っていましたが、この言葉を聴いて再び自身が「奮い立った」のを今でもよく覚えています。
 
声が届かないのは色々な理由があります。
 
「だから政治や政治家が悪い」と切り捨ててしまえばそれで終わってしまいますが、当然問題はそれだけではありません。

政治の源である選挙自体に関心をもっている福祉従事者や介護従事者は、私たちが考えているよりもずっと少ないと感じます。

現場に眼を向けてみますと、都道府県・市町村・施設・事業所ごとに環境が違いますし、資本力、サービス内容、使えるマンパワーも含めて一概にすべて施設だけにも理由あるとも限りませんが、制度を変えていくには、現場で働く全ての関係者の努力がより一層必要とされていくのは間違いありません。
単に仕事を頑張るという努力だけではなく、政治、介護団体、現場の声と正に多方面からのアプローチが必要なのです。


国は今高齢者のへの支援中心から若者への支援中心に大きな舵を切ろうとしています。
 
また日本を取り巻く影響として、ウクライナや北朝鮮情勢をめぐる今の脅威を考えれば、私たちに関わる社会保障費は政府として絶大な力のある財務省のもと、軍事費や、また数で勝る国会議員のいる業界に大きく予算を振り分けられてしまうでしょう。
 
政治の本質は強力なパワーゲームです。
 
実際、数十年も前に医師会や看護協会や建設業協会など、将来を見越して政治の必要性に気が付いている組織、団体については精力的に活動を続けています。
 
今回の新型コロナウイルス対策についても、医療に掛かる予算と支援は介護業界と比べるまでもなくその業界に注がれています。
私は三年前の選挙が終わり、施設に再び戻ってきて施設長としてこのコラムを書くようになりました。
 
少しでも読んで下さった方に「介護と政治の関わりの現状を知って欲しい」、なぜ介護や福祉に政治が必要なのかを考えて欲しい、もっと政治に関心を持ってほしいという願いからでした。

過日、このコラムを支えてくださっている方からのメールで「医療依存度が高くなったという理由で、特養を退去させられた。さらにその先の病院においても退院を迫られている」というご家族からの悩みご相談がありました。
また、別のご家族介護をされている方からは、要介護状態にあったご家族が亡くなられた訃報と共に、「これからもこのコラムと活動と発信を期待します」との声を寄せて頂きました、大変に有り難く、励みになりました。有難うございました。

メールで寄せられるメッセージからも、現在の介護保険制度には、その制度だけでは解決できない課題、問題が山積している状態が、ヒシヒシと伝わります。
 
公的制度であると分かってはいても、理解し難い内容のものもあるでしょう。頭では理解できても、腑に落ちない、気持ちが理解できないということもあるでしょう。
もし、自分の家族が同じ様な事態になってしまったら、制度設計に携わている人は、納得するのだろうか・・・
 
このような観点を国や行政は現場の声とともに寄り添って感じなければなりません。
 
何より、それに立ち会う私たち福祉や介護の従事者は「制度の枠を超えたそのご家族の心情にどれだけ寄り添えるか」、が鍵となってくると思います。
今の介護保険制度はそのプラスアルファの心の部分までは網羅してはいないのです。

あらためて私が皆さんに伝えたいのは、介護保険法や法令順遵守はもちろん大切ですが、相談を受けるにしても「介護サービスは白か黒かだけでは決してない」という事です。
 
ご利用者やご家族の個々の生活や人生に寄り添い、所謂グレーの着地点を一緒に探して、絶対にロボットのような「マニュアル介護スタッフ」には絶対にならないで欲しい。
 
福祉や介護は本当に難しい仕事です、そして素晴らしい仕事です。
 
だからこそ、その専門性やその価値を国や行政に正確に伝えていかなければなりません
それは、現場で働く一人ひとりの意識改革にかかっていると思っています。
 
間違いなくこれからの日本の生活を支えていくのは私たち介護、福祉従事者です。
 
経済はもちろん大切ですが、高齢者を中心としたこの日本全体の高齢者やご家族の心をどう幸せに導いていけるのか、それは私たち従事者の関わり方次第なのです。
出来ることから私を含めて一人ひとりが頑張っていきましょう!
WELFARE,NO LIFE!
★かくた充由は、福祉と介護の専門職を応援しています!⇒福祉と介護の専門職応援サイト福祉勉強会