振り返らずに進まなくては

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
岸田首相は12月1日に行われた経済財政諮問会議において、これからの「社会保障改革の在り方」、特に医療介護費について「増加抑制の徹底や給付と負担の見直しにより、現役世代の保険料負担の上昇を抑制することが重要」としました。
 
当然この裏付けとなるのは今後の少子・超高齢化であり、労働力が減少していくにあたって、日本全体の財源最適化していくことにある事は明白です。

また、2025年問題のその先、2040年頃に高齢者数が最多となった場合を見越してこれら医療費と介護費の増加抑制を徹底しておこなうものと思います。

こうした影響を多大に受けるのは、医療・介護従者であることは明白です。
 
特に、直近でその大きな分岐点となるのは2024年度の介護保険制度改正、また医療、障がい分野も含めた通称トリプル改正でしょう。
 
この件については「年内にも結論を得るべき」と意見もこの会議で発言され、残念ながら私たち介護従事者にとっては決して良い風向きとは捉えられません。
これは制度自体の改正だけでなく、もちろん利用者負担など、国民全体に負担を強いられる事になる事は間違いありません。

「取れるところからは取る、抑えるところは厳しく抑えていく」国の話でもまさに家計簿のような話ですが、当然、先を見越して「今まで最適化出来ていなかったのか?」という疑問も湧き上がってきてしまいます。

私たち介護従事者からすると、2025年問題、2040年問題などは既に数十年前から政府によって予想、叫ばれてきた事であり、つまりその頃から将来に向けての原資や財源の確保というのは、政策でとうに見越せた、対策が打てたのではないかと思います。
 
よもやその当時財源確保が潤っていた高度経済成長期では予想できなかったのかもしれませんが、今後、日本の財源を確保していくためには、高齢化、減少していく一方の現在の国民から、税収や、単価など上昇させ、出来得る限り絞る取る他ありません。
 
現実的にそうしなけらば、介護報酬、社会保障費は改正ごとに減らされる一方でしょう。
 
果たしてその様な状況のなか、地域や施設内で適切な介護サービスが保つことが出来るのでしょうか、私たち介護従事者や国民の声が更に重要になってくるでしょう。

岸田首相がそこまで財源の確保に躍起になる理由は、もうひとつ「子供政策の財源確保」にあります。
そして正にこれこそが、今までの政策の遅れそのものであると感じています。
 
岸田首相は急激に進む少子化対策として子供政策の充実を掲げていますが、残念ながらその財源の見通しはついているとは思えません。
来年の4月にも、この子供政策の旗頭になる「こども家庭庁」を創設するとしていますが、今後、特に力を入れるとされているその他の「防衛費」「脱炭素」政策に比べ子供政策の予算確保には遅れをとっている様相です。

政府としては、今後、超高齢化社会をどう受け止めるかだけでなく、この出生数の減少幅が予想を上回るペースで進んでいるを踏まえて、出産、子育て政策などを矢継ぎ早に提案している状況になっています。

我が国、日本の子供政策にかかる予算は先進国のなかでも最小のGDP比1.7%、これは先進国のなかでも最小の数値でもあり、他国で少子化が改善したとされる国ではGDP比3%の予算を支出していますので、いかに今まで少子化対策に遅れをとってきてしまったのか、今から時間と予算を取り返せるのかが今後の政府の政策に問われるのではないでしょうか。

いずれにしても「将来人口が増加しなければ財源が確保できない」イコール「この先の社会保障費や高齢者サービスや生活に大きな影響がある」
 
この当たり前のことが、数十年前に予想されていたのにも関わらず対策が打てていなかった。
加えて、真剣に取り組む国会議員ひいては声を上げる国民が居なかったというのが振り返れば残念でならない事です。
 
子供政策と介護政策は財源という意味で密接に繋がっているのです。
 
私たちにとって政治や選挙の行動が、これから日本の子ども達や、介護従事者にとって、どれだけ大きな影響を持っているかという事をあらためてお伝えしたいと思います。

介護と福祉、民主主義の主役は私たちなのですから。

WELFARE,NO LIFE!
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