制度活用は現場の負担軽減から

コラム

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走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
1月17日、昨年2月から9月に実施した介護職員の3%程度の賃上げについて、全国対象施設の約4分の1がこの制度を活用していないことが厚生労働省の発表で分かりました。

介護職員の3%程度(9000円)は、政府が実施にあたって補助金が働いている職員以外に渡らないように、計画書と実績報告書を二重でチェックし、守られていない場合は施設から返還を求める仕組みを導入したものです。

この制度は、昨年10月以降も財源を介護保険料と公費で賄う介護報酬に切り替えて運用されていますが、実質、すべての施設での活用では至っていない事が分かりました。

介護職員3%の程度賃上げについては、岸田首相が就任時に発表された肝いりとも捉えられた制度で、当初介護業界には今後の期待を込めて大きなインパクトがあったように思えます。
 

しかし、今までの実態として特定処遇改善しかり、今までの介護現場の業務負担を考えれば、職員の少ない施設、事業所にとっては申請の事務負担も大きく、結果、補助金の要件を満たした介護施設は約15万8000施設のうち、4分1にあたる約3万9000施設が活用されていないという事になりました。
 
一方で評価として、岸田政権のこの制度の導入によって、介護職員の給与改善に向けて良いスタートが切れたと思っています。
段階的にでも、全国の職員の給与を上げていく。これは私がもし私が国政に出馬した時に必ず訴えたかった内容でもあったからです。

確かに政府、行政の言い分としては、いずれの予算も補助金などの公費を使うものですから、それを介護施設が使う場合は、具体的な使用、実施方法など処遇う改善改善計画書をつくり、行政に提出、チェックを受ける必要がある制度となっており、その事務負担と手続きの複雑さがこの賃上げが十分に活用されていないという結果となってしまったという事になります。

このような理屈は誰しもが理解できたとしても、今回の結果は予想できた事でもあるでしょう。
賃上げといったこういった大切な政策は、全国のすべての施設、事業者を当てはめた時に、すべての施設に行き渡らないと意味がありません。
むしろ、そういった人材不足や負担軽減が必要な施設にこそ、こういった制度は活用してもらい、使いやすいように考えられていなければならないはずです。

今回は結果的に検証された結果からこのような業務負担にて活用がされていないといった内容が確認されましたが、実は今までもこのような制度が活用されないケースは沢山あるのも事実です。
 
今までも介護施設の申請手続きは煩雑です。
 
日常の業務に加え、制度の使用条件などを抜本的に簡素化しないと、どんな制度をつくっても、手続きや複雑な手間に追われて満足なサービスに結びつかない事も起こってくるでしょう。
最近では、その他、Life(ライフ)などに関しても煩雑で時間のかかるものであるにも関わらず残念ながら加算はそこまで期待できる内容ではありません。
 

今回の件について厚生労働省は簡素化に向けて手続きをあらためる方針としていますが、国は「制度はつくったんだから活用できない施設はしょうがない」ではなく、全国どのような介護施設も切り捨てる事なく、どんな施設でも活用し易い制度づくりで、全国すべての介護現場を支援してもらいたいと思います。

WELFARE,NO LIFE!
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