現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
私が以前に全国で理事を仰せつかっていた、全国老人福祉施設協議会は、1月26日、27日と栃木県宇都宮市で合同としては初めての「全国大会と研究会議」を開催しました。
今回は、このコロナ禍のなかでwithコロナを目指して開催した、3年ぶりの会場参加型の全国大会
であり、私も地元の実行委員として手伝いをさせて頂きました。
会場は感染症対策を徹底するなかで、全国から約1000人の会員が参加、またオンラインでも200名以上の会員が登録をしていました。
全国の事業所職員による熱のこもった事例研究発表で学び合いました。
特別講師として、地元栃木県の元オリンピックの金メダリストでプロスイマーの萩野公介氏の講演もあり、ゲスト参加した地元芸能人のU字工事さんの大喜利大会をはじめジャズ演奏などのイベントもあり、大変な盛り上がりをみせました。来場者には、栃木県を代表する名産のイチゴが無料配布され、無事に2日間の全国大会の終えることが出来ました。
今回の大会で、主に全国老施協の平石会長が、打ち出したのは「現場革新」でした。
1年後の2024年には介護保険制度改正・介護報酬改定を迎える私たち介護業界は、現在も多くの課題、問題に直面しています。
なかでも直面している大きな問題は、介護業界で叫ばれ続けている「人材確保」の問題です。
人材確保や人材の定着に関してはもちろん私たち介護業界だけではなく、人口減少が最大の問題となっている私たち日本の背景として、どの業界、企業にも大きな影響を与えていますが、その影響力はこの数年で更に根深い問題として差し迫っている状況です。
今後、この問題は施設、法人間での協働化などによりスケールメリットなどで解決が目指されていますが、法人同士の連携、または都市部や地方などの地域格差、情報格差などを理由に根本的な解決にはまだ時間がかかる見通しで、今回取り上げられた現場革新のなかでも、特にICT導入、活用が期待されています。
しかし、全国的には資金や人材を理由にまだ追いついていない施設がほとんど。
これも厚生労働省などでも方向性としては示されていますが、実現するには施設や法人規模などによって大きな差が生まれてくるでしょう。
一方で、この議論では「ICTによる業務効率化で介護現場の人員配置基準を(少ない施設職員で)緩和できる」などの提言もされていますが、これについては私的にも大きな間違いだと思いますし、機械やセンサーが出来ることは大きなメリットがあり積極的に導入し活用するにしても、まずは現場の人材確保を何より優先するべきものだと思います。
これからの時代に向けて何よりも確保した人財を大切に施設に定着してもらい、いかにして「魅力ある職場を職員と一緒に作り上げられる」か、それは施設長の役割だと思いますし、「制度を語るだけでなく、しっかりと介護の魅力を職員に肉声として伝えられるリーダー」でなければ、サービスを提供できる施設として「賃金以外に職員に選ばれない時代に突入した」とあらためて、「言葉で伝える大切さ」を痛感しているこの頃です。
とにかく全国老施協の直近の調査結果では、特養の43%が赤字経営、そこに輪をかけて記録的な物価上昇や電気などのエネルギー問題が生じているとすれば、いずれにしても施設の経営力強化も待ったなしの状況でもあります。
更に、会場のなかで平石会長が声高に訴えていたのが、「介護職員の賃金の引き上げ」です。
これについて、介護職員の給与は施設に入って来る介護報酬の額で決まってしまうとすれば、言わずとして政治の力がモノを言います。
平石会長は挨拶のなかで「やはり最終的には、介護に対する国民の理解と支援がないと介護報酬は決して上がらない」と言われてました。
正にここは「賃金を上げるためには、政治力が絶対に必要だよ」と率直に言えない会長の悔しい想いを、私も辛い気持ちで聞いていました。
介護業界に理解をしてくれる国会議員の先生方は数多くいらっしゃいますが、すべての先生の活動や発言は様々なパワーバランスのうえで成り立っており、私たち介護や福祉、社会保障に関する現場の声を本物の力に変えてくれるのは、やはり介護業界から国会議員を1人、2人と国政の場に送り出す必要があるでしょう。
この国の介護を守り、今、そしてこれから介護に携わってくれている職員を守っていく、私たちは制度の理解や現場の努力だけでなく、私たちの業界のために政治への関心や参加意識をさらに高めていかなければならないと強く感じました。