アウトカム評価加算

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
2024年度に向けて介護報酬改定に向けて、具体的な内容や方向性を活発化させています。
今までも介護のたびにさまざまなアウトカム評価、加算を中心とした施設への収入を打ち出してきましたが、現在検討されている来年の介護報酬改定の内容の検討をみても、「アウトカム評価加算」の傾向は変わりはないようです。
 
前回の報酬改定で打ち出され今後は確実にその報酬の中心となると見られているLIFEなどもそのひとつと見ていいでしょう。
 
今までのアウトカム評価加算の一例としては、ほとんどがご利用者様が施設側の努力により、ADLが維持・向上した時に評価されるものや、リハビリによる社会参加を評価するもの、褥瘡予防などの身体的に施設としての取り組みが評価されるものなどでした。

今後も厚労省は、こういったアウトカム評価加算のメニュー拡充して自立支援・重度化防止をこれまで以上に強化していく事が見込まれています。
 
これらの取り組みは純粋な意義として介護や医療による社会保障やセーフティーネットとしての重要な役割の他、日本全体における健康長寿で医療費を削減していく狙いがある事は言うまでもありません。
一方で、これらを達成するには、過去にこのコラムでも何回か触れて来ましたが、現場の事務を含む介護の業務負担を軽減しながら検討をすすめないと理想を描いた「絵に描いた餅になりかねない」ということです。
本来、アウトカム評価をおこなうとして、介護というのは根拠を確かにする事はとても難しいものです。

人材確保が大変厳しくなっている現在、果たして「政府が、数字と机の上だけで考える専門性」と、「現場が考える利用者さまへのサービスの理想」と、業務負担を含めてその部分をよく擦り合わせをしないと、新型コロナウイルスの対策のかかり増し経費の時ように、「政策はあるが事務負担のため結局利用されない」ような、形だけの制度になりかねない危険性もはらんでいると感じます。当たり前ですが、大切なのは現場の声です。
 
しかも、その本当の現場の声は、より利用者様の近くに真実があります。
その声が、厚生労働省の社会保障分科会などで議論される内容まで果たして届いているのでしょうか。
率直に言うと、私たち施設においても、連日スタッフと連絡や相談のなかで情報の擦り合わせを行っていますが、施設長として現場の声を聴き「なるほど」と思うこともたびたび存在します。

介護の本来の仕事は、利用してくださっている「利用者様へ提供されるのサービス」です。
 

そのサービスの質と量が適切か、今のその施設のもつ人材(人財)と相談し、業務負担とのバランスを取りながら実行しなければなりません。
もちろんそれは、私たちの仕事そのものであり、否定するものではないのですが、これからの時代においては、益々日本の人口減少、介護や福祉の担い手不足のなかで益々厳しい検討と判断を施設サービスのなかで問われてくるという事です。

 

例えば一定規模の力のある社会福祉法人や企業による介護提供事業者はまだ持ちこたえられアウトカム評価加算に取り組めるでしょう。
 
しかし一方で、全国の施設のなかで、そもそもスタッフも利用者様の人口自体が少ない過疎地域や限界集落などでサービスを提供している施設などでは、同じ制度であっても利用するにあたって状況や負担量が明らかに異なってきます。
もちろん、制度が実装されれば、生き残りをかけて地域に関係なく必死にアウトカム評価加算を取りに来るでしょうが、環境によってその負荷が確実に大きくなるでしょう。

私は、参議院選挙のなかで全国さまざまな県や地域を見て回る事ができました。
今となっては視察という意味でも素晴らしい経験をさせてもらいましたが、一方で介護サービスをおこなうにあたって、自分の施設の立地がどれだけ恵まれているのか、山間地域などや豪雪地域などで介護サービスをおこなっている施設と比較するとどれだけ取り組むハードルの高さが違うのか実感したものです。
 
これからの介護は、叫ばれている人材確保との戦いだけではなく、日本全体を覆う「人口減少との戦い」です。
介護だけではなく、人ひとりの価値がますます向上し、お金よりもまさに人材こそが人財、財産となる時代がもう現在に訪れています。
この状況のなかで、さらに進められる介護サービスの「アウトカム評価加算の内容」がはたして適正なものなのか、全国の介護施設を見回した時に、その業務負担と施設に入る加算の対価のバランスがとれたものになっているのか、しっかりと話し合って欲しいと思っています。

政府に期待するのは決して、全国の施設において「ついて来られない施設は置いていく」ような事がないようにしてもらいたい事です。
介護で個別ケアがあるように、地域や場所によって人口によるサービス提供の格差が存在しているのです。
介護の人材確保が大きな問題になっていますが、はたして人生をかけて参入していいのか、仕事をして良い場所なのか、政府の政策を次の介護の担い手は今まで以上に注視しているのです。
WELFARE,NO LIFE!
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