あれから23年

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
西暦2000年の介護保険制度が始まってから、はや23年が経過しました。
 
私も大学の卒業後にデイサービスセンターに就職し、この介護保険制度がスタートする前は措置制度の頃で、毎年主に決まった金額が施設に振り込まれてその予算のなかで事業所が運営をしてきました。
就職したてで、その頃は今の様に全国の高齢化率も今ほど高くなく、デイサービスを利用される利用者さまの年齢も比較的若くしっかりされている雰囲気でした。
 
総務省で今月の12日に公表された65歳以上の高齢者の割合は、前年より2万2千人多い3623万6千人で、総人口に占める割合はおよそ約3割である29.0%に達しました。
 
いう間でもなくこれは過去最高の数字で、後期高齢者である75歳以上の割合も総人口の15.5%とこれも同時に過去最高を記録しました。

また一方で、この介護保険制度のサービス利用者数は、昨年の9月の時点で約546万8700人、この数値は今後も右肩上がりで更新を続けていくものと予想されます。
介護保険制度が導入された当初は、社会全体としても介護サービスのシステムの変化により当然不慣れと戸惑いもあったと思いますし、現在のサービス利用者の原則1割負担というのもご家族様への説明や定着まである程度時間がかかったのも覚えています。
 
当時はこの介護保険への加入者数自体は少なかったもののあれから23年、近年ではすっかり介護保険制度は私たちの生活に定着してように感じます。そして、それと同時にあの頃と確実に変化したのはサービスや制度だけではなく、介護保険制度を利用されている、利用者さま家族さまの「施設への権利意識、顧客意識の変化」です。

特に、介護保険制度をある程度浸透してきた約10年前くらいには、利用者さま家族さまの「介護保険料の自己負担分を払っている」という意識が強く表れるようになったと感じています。
保険料の自己負担分を支払っているので、当然その分のサービスを施設、事業者側に期待するのは顧客として当然のことと言えますが、やはりそこは介護保険前の感覚とは大きな違いであったと思います。
 

問題なのは、以上ような事から全国の介護事業者において、施設側とサービスを利用されている利用者さま家族さまとのクレームやトラブルが増加してきている事です。
 
多くの場合は施設に入所をしていたり、サービスを提供している際の事故のケースが多い印象ですが、なかには相談時の対応のクレーム、連絡の行き違いのクレームなども多く含まれています。

これら多くのトラブル、クレームのケースにおいては、施設側としていかにリスクマネジメント不足で、介護スタッフや看護師、生活相談員などが「最低限のやるべきことが家族様に対してできていない」ことがあり、連絡を含めた家族対応について施設側やそれぞれの立場のスタッフが責任をもって「誰が」、「いつ」、「どのように対応する」などのマニュアルが周知徹底されていない場合に起こるケースが多く、トラブルやクレームに対して「その場、その場で対応し」、場当たり的に家族さまと話してしまっている事もあるのだと思います。

いずれにしても準備不足という事になってしまいますが、事故が起きてしまった場合は、それぞれの立場のスタッフが自分がやるべき対応を理解し、責任をもって行動することが大切だと思います。
また、予想できる事故、クレームなどのトラブルについては対応する手順をしっかりとルールで決めておいて、現場スタッフに落とし込んで教育しておく事が大切だと思います。

介護保険制度がスタートしてから23年、家族さまの意識も変化し、社会も私たち介護施設の考え方も大きく進化しました。
 
背景としては、先に書いた高齢化率と比較しても現場の介護人材不足が原因で、本来であれば高いスキルが求められる業界でなくてはいない中で、一般的な民間サービス業より高いサービス精神を教育する余裕がなくなっているのもギャップの要因かもしれません。
 
しかしこれからも介護保険制度において家族さまのサービス意識、権利意識は向上していくと予想され、またこれらの対応がしっかりと出来ない施設、事業者においては、地域だけでなく、現在サービスを提供している利用者さま、家族さまから口コミで「選ばれない施設」になってしまうリスクも背負っているのです。
いずれにしても介護施設は、この権利意識、顧客意識に対応していかなければなりませんので日頃からのリスクマネジメントの努力を怠らないようにしたいものです。
WELFARE,NO LIFE!
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