「骨太の方針」から感じる大切なもの

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
今年も「骨太の方針」の時期が近づいてきました。
骨太の方針とは政府の目指している重要課題や翌年度の予算編成の方向性を示す基本方針の事で、毎年6月頃に打ち出されるものです。
 
経済財政と今の政府が目指している改革の方針が見える化するものですから、私たち国民にとってはこれからの日本がどの方向に進んでいるのかが具体的にわかるうえでは、注目するべきとても大切な方針とも言えます。
 
現時点での骨子案では、岸田首相が目指している「新しい資本主義」「構造的な賃上げの実現」「人への投資の強化」「ロシアによるウクライナ侵攻による軍事力の強化」その他、こども政策として「少子化対策」が主に取り上げられているところです。
 
これらの主要政策を進めるうえで必要なのは財源であり、その財源の捻出で大きな影響を受けることが予想されているのが私たちの介護、福祉などの社会保障に関するものです。

介護業界は3年ごとに行われる介護報酬の価格改定や内容の変更、この介護報酬改定に特に大きな影響を受けている訳ですが、この内容が決定してしまう12月ごろには厳しい判定が出そうな気配です。
 
特に先の内容で触れた「構造的な賃上げの実現」については、岸田総理のもとで、介護、看護の賃金改善も取り入れらえた部分もありましたが、実際のところ、民間企業全体、全産業の平均年収があがったところで、また介護従事者の賃金がまた離れてしまったような印象があります。
 
社会福祉法人が政府の価格改定に頼るしかないところを、民間はこの辺りの改革をどんどん進めていきますので結果的に社会福祉法人は追いていかれているような感じになっているのが実際のところです。
かといって、もちろん私たちとしても手をこまねいている訳ではありませんので、様々な情報を整理しながら追いかけられる部分は施設として努力をしていかないといけません。

特に、施設に大きな影響を与えているのはエネルギー問題で、電気料金などは全国的におおよそ全体の1.5倍の料金
物価高騰も相まって、全国の特養の赤字施設4割にも及んでいるなかでさらなる支出が生じている状態です。
 
一方で政府もこれに対しては、何も対応してくれていないわけではありませんので、政府でこれらの物価高騰などに対して補助金などメニューをつくってくれています。
 
大切なのはこれらをきちんと「使う」ことで、以外と場所によってはこの施設にとって重要な政府から打ち出されている補助金を活用していない県なども見受けられます。
 
つまり、国が必要な施策を打ち出しても、その県が導入しなければ「ただの絵に描いた餅」にしかならないのです。
最終的に、その国の決めたその補助金を使う、使わないのはその知事、市長の権限です。
 
そういった意味でも私が所属している全国老施協や都道県の老施協などの組織が重要になってくるわけですが、きちんとその要望活動をおこなっていかなれば県によっては補助金が0円なんて事もありうるのです。

その他、政府が進めているAI、ICTを活用した現場の業務負担効率化ですが、実際のところは施設としても導入したくても想像以上にコストがかかり「導入したくてもできない」というのがほとんどでしょう。
 
AIやICT、この点についても大きな企業は、データの活用や、これらICT開発、研究についての専門の部署があるなど、かなりコストをかけられている面で、おいていかれている印象があります。
 
私たちも同業者として良い意味で切磋琢磨し、民間企業に負けないように「使いやすいもの」「コストに見合った商品でどういったものがあるのか」、実際に使ってみた施設で導入した商品が「どこが問題だったのか」などの情報をいち早くキャッチし、皆で情報を共有し、協働で介護を進めていく必要があるでしょう。
 
新型コロナウイルスの影響で全国で相当の事業所が閉鎖、収益が悪化がみられました。
 
そのなかで例えば私たちが取り組んでいる老施協やその他の介護系団体などを抜ける施設も増加しました。
 
しかし、これからは一般企業と競り合うため、生き残るためには、「必要な情報と、施設同志の連携」が今まで以上に生命線となる時代が来ていると思われます。
もちろん制度自体を変えていくのに政治力も必要ですが、私たちも今まで以上に情報と連携の大切さを身に染みて感じています。

WELFARE,NO LIFE!
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