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走る施設長、現場発信!かくた充由です。
6月7日、厚生労働省の統計が発表され、2022年度の生活保護の申請件数が前年度から6.9%(2万4493件)増の計24万5686件にのぼった事が分かりました。
この増加は3年連続プラスとなり、過去と比べても4月以降は2番目に多い伸び率、また直近でも3ヶ月連続の増加で、おもにこの要因として新型コロナウイルスの長期化による経済への影響や、電気料金や物価高騰などの国民生活への影響が大きかったと見られています。
2021年度の生活保護の申請件数が、2022年度と比べても0.8%となっていますので、この6.9%という増加がいかに高い伸び率となっているかが理解できます。
注目すべきはこの生活保護世帯のうち、最も多い申請世帯は高齢者世帯という事です。
厚労省は、生活保護申請の増加の要因に関して「コロナ禍での経済情勢の動向などが要因だが、特定はできない」としています。
もちろん、この生活保護申請増加に、新型コロナウイルスの長期化の影響、電気料金と物価高騰の影響は直撃しているものと思いますが、一方で、現在の日本全体の高齢化による低年金、無年金の高齢者申請が加速化もしてきており、生活保護制度がそれら年金受給者や需給出来ていない高齢者層の生活を守る代替的役割として、本格的にセーフティーネットとして機能してきているともいえます。
つまり今後も超高齢化社会の進展とともに増加していくことは確実だと想像できます。
また、雇用という視点からも想像すると、低年金だけでは生活できない高齢者層の皆さんが、雇用情勢の回復に伴って、非正規雇用の立場から雇い止めに遭った事も考えれ、また障がい者世帯に関しても同様の事が起きている可能性も高いのではないかと想像できます。
いずれにしても、生活保護制度の活用は、単に新型コロナウイルスや電気料金、物価高騰だけが要因としては考えられず、現在の日本の社会環境や時代状況も大きく影響しており、昨今の申請増加の要因は様々な問題が積み重なってこのような結果となっているはずです。
それにしても生活保護制度は国民の誰しもが申請できる大切な社会保障制度のひとつでもあり、国民の命を守る社会のセーフティーネットです。
生活に行き詰まり、命に関わる、緊急でどうしようもない生活困窮に陥った場合には、躊躇なく相談をするべきであると思います。
一方で考えないといけないのは、どうしようもない理由で「生活保護制度を活用する場合においても、それで終わりではいけない」という事です。
一度生活保護を受給した方は、様々な事情があるにしても、生活保護からなかなか抜ける事が出来なくなっているというのも現実です。
生活保護に至ってしまったとしも、最低限の保障を実施することと共に自立を促すような脱生活保護を推進する仕組みづくりは必要だとも思います。
生活保護を利用するにあたって受給者にはある程度の条件や制約をきちんと守ってもらう事は絶対の大前提として、各市町村が提供する仕事は必ずこなす事など、脱生活保護のしくみそのものを国や市町村で、しっかりと議論するべきだと思います。
生活保護の申請者に高齢者が数多くいる事を考えると、健康上の理由が特段ないのであれば、意欲ある高齢受給者には社会で活躍できるメニューを、超高齢化社会に合わせて選択肢を増やしていくような仕掛けづくりも必要だとも思います。
私が市議会議員の時にも、生活保護制度は、絶対的に必要なケースだけではなく、明らかに何の問題もない「ただ働きたくない」ような人間にも支給されているケース
も実際に取り上げられていました。
税金の支出としてみれば、生活困窮で人命を救うため活用される生活保護制度も、不正受給や、上記のような理由で需給を受けているようなケースも確かにあり、どちらも支給されていれば同じ生活保護制度なのです。
不正受給や違反者に対しての制度上、罰則の強化も必要だと思いますし、逆に国民の命を守るために、必要な方には相談しやすい環境づくりも必要でしょう。
今も財務省、厚労省では社会保障制度について私たちの介護分野について様々な議論がなされていると思いますが、生活保護制度については、見直しできる点が残されており、確実に国として大きな見直しが必要な時期だと感じています。
WELFARE,NO LIFE!
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