増え続ける認知症の行方不明者

コラム

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走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
警察庁は22日、昨年1年間で認知症が原因で行方不明になった人が過去最多となる1万8709l人にのぼったと発表しました。

昨年全国で届け出があった行方不明者は8万4910人となっており、この認知症を原因とする行方不明者はそのうちの約2割の22%となっており、警察庁が統計を取り始めた2012年と比べるとその数は1.95倍(約2倍)に増えていて、今の超高齢化が背景に今後さらに行方不明者は増加していくと考えられます。

現在、対策としてそれぞれの自治体や地域などにより、認知症サポーター養成講座による啓発や、見守り活動、身分を証明できるものを身に着けてもらうこと、また最近ではご家族の了解を得てGPS発信機など着用してもらうなど、包括的に取り組んでいるところではあると思いますが、この数年で急激に認知症患者が在宅で増えてくることを予想すると、ますます自治体や警察、そして介護・福祉サービスに関わっている私たちが精力的に働かなければならにと感じています。

認知症は言わずとして加齢とともに発症して、現在65歳以上の7人に1人が認知症とも言われています。
認知症の症状の一つに、自宅においても、行動、心理症状があらわれて自分自身の居場所がどこにいるのかわからなくなってしまうという状態があります。まして、外出時には尚更です。

行方不明者が増加した背景には、独居高齢者や、それぞれの家庭で核家族化が進み、本来だと自身の両親などを「見守るべき子供たちがそばに居ない」といったものも含まれているでしょう。

実際に包括支援センターなどにおいても、地域で独居の方、もしくは高齢者のご夫婦で2人暮らしといった家庭も多く見られ、もし片方が認知症を発症してしまった場合、老々介護でお互いの事をサポートできないようなケースが相談として見受けられるようになりました。

現在はこういった高齢者の家庭が増加しているわけですが、なかなか民生委員や福祉協力員からの情報がなければ初動が遅くなってしまう場合もあり、私たちも全力をあげて地域からの情報にアンテナを立てているところです。

気を付けなればならないのは、そういった認知症の高齢者のご家庭は発見しずらいという事にあります。

認知症は実際に、その方に対して接して話してみなければわからないものが多いですし、尊厳から噂だけではそのご家庭に踏み込んでサービスをいきなり始める訳にもいきません。

慎重に情報を集め、丁寧にものごとを進めていく必要があるでしょう。
また、そういった高齢者の方の家庭は、まわりの環境から情報を得ることも大切になってきます。
郵便物がしばらくそのままになっていないか、以前より、訪ねた時に部屋が片付かなくなっていないか、同じものがたくさん買ってあったり、認知症になるとまずその方の身の回りの環境から変化が現れるでしょう。

認知症は本人にも自覚なく症状が進んでいたり、いつの間にかはじまっているといったケースもよくある話ですから、まず地域の高齢者のお宅の小さなSOSを見逃さないようにアンテナを立てておくことがとても大切となるとお思います。


いずれにしても、これから地域において、ますます認知症高齢者との関わりは最重要課題となってくるはずです。

それは、私たち介護従事者、包括支援センターだけではなくて、自治体、警察、地域住民の総力戦での取り組みとなるでしょう。
認知症の行方不明者高齢者に対して、先にあげたICT機器をつかった開発や利活用も少しずつ進んでいるとの話もありますが、とにかくこれらの増加を抑制していくのは、その地域に住んでいる住人である、人と人とのネットワークしかありません。

昔は核家族でもなく、向こう三軒両隣といった社会でお互いの家庭を違った家族が見守り、共生社会を担っていました。どんなに文明が進んでテクノロジーが発達しても人の問題は、身近にいる人間同士にしか解決する糸口は見つけられません。

「昔は良かった」と言うつもりはありませんが、今の時代の在り方で、徘徊など、行方不明になる高齢者を未然に防ぐ専門的な取り組みを、本格的に皆で考える時期がきているのだと思っています。

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