現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
現在介護現場での最大の問題点は、人材の確保と定着にあるのは間違いないと思います。
今の時代、人口減少と相まって、少子化問題と同じように今以上に政府で大きく取り上げられることでしょう。
いかに自施設で働いている職員を定着させるか、働きやすい労働環境で質の高いサービスを利用者さまに提供できるか、これが施設長としての大きなミッションです。
企業などの経営において、売り上げと費用が等しくなり、損益がゼロになるときの売上高のことを損益分岐点と言いますが、これは売上だけの話ではなく、今の介護施設などの人材においても同様の考え方ができます。
施設運営において、最大の支出は人件費ですが、これは財政面だけのものではありません。
サービスの質、人材の流出、定着率という意味でもこの損益分岐点
というものが存在すると私は思っています。
どの施設においても、加算取得などに努力し、収入を増やし、職員への給与や設備投資に配分する。
やっている事はどこの施設でも同じだと思いますが、いずれにしても今の報酬体系のなかでよほど黒字運営が出来ていない限りは、人件費の観点から職員の数はギリギリか、少し余力をもって確保しているところがほとんどなのではないでしょうか。
しかし、職員の定着という意味から考えると、問題は人件費だけの問題だけではなくなってきます。
あくまで人件費だけを見た損益分岐点は私たち施設長や管理者側から見た視点であり、働いている職員から見た損益分岐点は、財務ではなく、自分への業務負担量、労働環境、サービスの質など、さまざまな部分で影響を与えて来ます。
施設運営をしていくなかでは、この職員の立場から考えた、業務負担、労働環境、サービスとしての人件費以外での損益分岐点を見逃してしまっては職員の定着に結びつかなくなってしまいます。
職員の側から、捉えた人材の損益分岐点
を下回った場合は、どういったことがおこるでしょう。
職員ひとりの業務負担は増加し、労働環境も悪くなり、サービスの質も低下するでしょう。
ですから、施設長としてはこの職員の立場からした職員の損益分岐点を常に意識していなければならないと思っています。
自分の施設のこの事業所の人の損益分岐点はこの人数を切ってしまった場合、しいては以上あげた利用者さまや職場への影響だけでなく、離職への大きな要因になるでしょう。
余裕があれば少し多めに職員を雇うのが適切だとは思いますが、人材確保や財務の面でも全国の施設において余裕をもって人材を管理出来ている施設は限りがあると思います。
なかでも事業所の職員としても、資格のある経験のある職員、未経験の職員、仕事のスキルは職員によってそれぞれです。
場合によっては職員ひとりが未だサービス提供者として1人と数えられないケースもある場合があるからです。
管理者は、その職員ひとりひとりの能力はそれぞれ、個性と仕事のポテンシャルを正しく理解、判断し、その損益分岐点がその事業所にとって何人が適正であるのか、人材を確保し、それを施設の財務状況と照らし合わせて、管理者としても目線と職員の目線の両面から、その割合を導きださねばなりません。
これはICTの活用や機械化などによって若干緩和されるケースもありますが、しかしあくまで介護の現場は人が主役であり、機械が主役ではありません。
大切なのは、管理者は「職員の立場から見た風景」をきちんと感じて人員配置できているか。
管理者として認識しないといけないのはアドラー心理学で書かれている「人間関係の「縦と横の関係性」の考え方です。
特にこれは対人関係に関するものですが、職員の離職の原因は往々にして職場内の人間関係にあるわけです。
その要因は一般的にその事業所内の職員同士の人間関係に問題があると言われがちです。
これが対等の立場同士の関係性「横の人間関係」です。
見落としがちなのは、離職の原因として、管理者との現場職員との関係性の悪化、つまり組織として上下の人間関係「縦の人間関係」が、おおいに職員の離職の原因として管理者は受け止めないといけないという事です。
さらに、この縦の人間関係は事業所内の雰囲気、サービス内容にも影響してきます。
あまりに強制的に管理者側から職員に強いられている職場というのは、上司との関係性のその矛先が、利用者さまに向けられてしまうような最悪のケースも出てきてしまいます。管理者として大切なのは、現場職員との節度ある関わり合いです。
必ずしも上司と部下、あまりに近い関係ばかりが決していいとも思いませんが、信頼関係は離職防止にも繋がりますし、私たち介護従事者はサービスを使われている利用者さまのためにも、事業所では管理者と職員との心地よい距離感というものを意識して職場の雰囲気をつくりあげていきたいものです。
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