介護の価値観へのアプローチ

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
今日は「価値観」について書こうと思います。
価値観といっても、お金の価値、モノの価値観、職業の価値など、それぞれの時代によって社会は様々な価値観が刻一刻と変化していると思いますが、特にここ数年間、新型コロナウイルスを経験した私たちは、リモートなど今まで感じなかったものに価値を見出してみたり、新しい発見や、今まで当たり前だと思っていた人と人との関係性の大切さなど、誰しもがそれぞれの振り返りと新しい気付きも生まれたのではないでしょうか。
 
そしてその変化は、私たち介護・福祉の仕事についても同様でしょう。介護についての新しい価値観は、激動の社会の変化や技術の進化、超高齢化社会に突入している世代間のニーズの変動などに応じ様々に取り入れられて、エッシェンシャルワーカーとして以前よりも社会に理解されるようになってきたと思っています。
 
なかでも、時代と共に大きく変化、進歩してきた介護の内容をいくつかピックアップすると、まず変化したのは「個別ケア・利用者様中心の介護」です。
以前の時代の介護は、どちらかというと一方的に「与える側」が中心の介護という印象でしたが、現代の介護は利用者様ご本人のニーズや希望、価値観を中心にサービスを提供する事が最優先に求められており、以前と比べても大きく変化、進歩が起こりました。

利用者様を単にサポートするだけでなく、生活の質(QOL)を向上させるために、利用者様の生活の質を継続的に高める取り組みが重視されるようにもなりました。
健康寿命を延伸するために予防を中心とした健康を維持するための活動やリスクを減少させるための取り組みも各市町村によって政策として取り組まれるようにもなりました。
また、地域、特に在宅での介護支援を良くする観点から、自宅での援助、介護など地域密着型サービスなどの移行なども進められています。
そして何よりいま政府が推し進めているのは、「AIやICT、介護ロボットを中心とした最新技術の活用」でしょう。

 
ITの活用については来年の介護報酬改定においても充分に盛り込まれてくる事が骨太の方針からも予想されており、今後は、それらの技術によって介護サービスの質や、業務の効率をさらに向上させる取り組みが益々進展することが予想されます。
 
その他にも地域包括ケアシステムなど、地域での連携や、今までにない異業種からもサービス参入も予想され、これから今までにない包括的なケアシステムが新しく生み出される可能性も高いと思っています。

以上の事の新しい介護の価値観は、介護の現場でのサービス提供だけでなく、国での政策作成や研究、政治的な側面を含めて極めて重要な影響を与えています。
中でも忘れてならない大切な要素は、それらを担う私たち介護と福祉の専門職の継続的な教育と専門性発揮です。
 
私はもともと現場出身ですので、最初に挙げた「個別ケア・利用者様中心の介護」のなかでも、「利用者様の価値観と職員との関わり」について振り返りたいと思います。
当たり前のことですが、人間誰しもが似たようであっても、まったく同じ価値観のひとは存在しないでしょう。
それでも、私たち介護の仕事は出来得る限りは利用者様に価値観を寄り添っていく事がやはり大切と思っています。
 
なぜかと言えば、それにより利用者様が安心してサービスを受ける事が出来ると同時に、職員の立場として価値観の違いを理解し尊重し合うことは、人と人との関わりのなかで何か大切なものを学ぶ事ができる介護従事者として最良の機会だと思うからです。

介護職員が利用者様とサービスとして価値観に合わせていくためにはどのような努力が必要かというと、私はまず何より大切なのはシンプルに声かけ、会話などの「コミュニケーション」だと思っています。もちろん大切なものは他にもあって、「職員の継続的な学び」や、「利用者様の気持ちを汲み取る能力を養う」こと、業務のなかで「利用者様や同僚からフィードバック」を受入れ、「自己反省や、介護の方法や態度などを見直しして改善していく姿勢」なども努力として必要だと思っています。


努力としてそのサービスの土台となる「自分自身の精神的、身体的の健康を守る」ことが不可欠であると思います。
もちろんこれらのポイントは一度にできる訳ではなく、職場での日々の経験とともに磨かれるもので継続的な努力が必要でしょう。
でも敢えてこのなかで「利用者様と価値観を合わせるのに一番大切な努力」を取り上げるとすれば、やはり職員の「コミュニケーションの意識」だと思っています。
 
それは利用者様との信頼関係を築くうえで、やはりその土台となるのは日常的な挨拶、声掛け、会話であり、それぞれの利用者様の価値観、感情、ニーズ、そして悩みなどを理解するためにも、良好な関係性がなければ例え努力して身に着けた他の能力があっても現場で十分に活かす事は難しいからです。

現場は忙しく、人材不足などさまざまな要因があってどうしても業務が優先し声かけや会話がおろそかになってしまうケースもあるでしょう。

しかし、そのような中でも職員ひとりひとりがコミュニケーションの重要性を意識し、職員と利用者様との関わり方を大切にしていく事は、やはり私は一番大切だと思いますし、介護従事者として、どのような環境でも今まで積み上げてきた利用者様との良好な関係性こそが最大の価値だと私は思うのです。

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