多様化する労働力

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
8月30日、厚生労働省は介護保険の運用実績などをまとめた事業状況報告の最新版を公表しました。
これによると、昨年3月末時点での要支援・要介護認定者の数は全国で約690万人過去最多更新。また、65歳以上の認定者数、介護サービスの受給者数過去最高を記録しました。
 
今後、この数値は益々増加していく見通しで、制度において国や地方自治体、またその担い手となる地域がこれらの高齢者の皆様をどう支えていくのかが、大きな課題となるでしょう。
特にそのなかでも大きな課題となるのが「支え手」の問題です。
 
中でも在宅サービスの要となっているホームヘルパーの不足感などは前年度よりさらに上昇、ヘルパー自体の高齢化や、賃金などの問題による他職種への転向、有効求人倍率は上昇する一方で、私の周りの現場関係者からも、人手不足がかなり顕在化しているという声が多く届くようになりました。

昨年度の介護労働安定センターの調査で、施設サービスの基本となる介護スタッフについても介護スタッフが「大いに不足」が11.9%、「不足している」が24.2%、「やや不足」が33.2%と、介護施設でこれらを合計した介護スタッフの不足感は全体の69.3%なっています。
 
高齢化にともなう介護ニーズの拡大や施設、事業者間での競争の激化による職員の争奪戦なども要因として挙げられると思いますが、その他の理由として、「介護業界からの他産業への流出」が大きな原因とも見られています。
 
振り返れば新型コロナウイルスによって、一時期、介護スタッフの不足感は落ち着きをみせていましたが、5類への移行によって状況が変化、日本全体の景気や産業が一気に活性化していくなかで産業全体の賃上げも着実に進み、介護業界から他産業への介護人材の流出が一層顕著に見られるようになりました。
政府としても把握しているこの問題ですが、具体的に特に社会福祉法人などでは来年の介護報酬改定の引き上げなどで対応していく他なく、現場の声にどう応えていくのかが注目していけねばなりません。

こういった介護人材の必要性から今後、特に注目したいのが、「介護スタッフのサポート役」として認識されている特定技能などの「外国人労働者」や、「働ける高齢者」などの人材の活用でしょう。
 
特定技能制度で今も国内で活躍されている外国人に関しては非常に優秀な方達も多く、夜勤も含めて日本人の介護スタッフにもまったく引けを取らないどころか既に即戦力とて活躍されているスタッフも多く育ってきています。
 
私の施設にもカンボジアからの特定技能制度を使って働いているスタッフがいますが、非常に勤勉であり、日本語も努力をして流暢、何より母国から日本へ来て「必ず成功する」、「資格を取る」、「家族を守る」といった「覚悟」は既に日本人の介護スタッフを凌いでいるとさえ感じています。
 
今後、私の施設でもインドネシアからの特定技能の子たちが男女ふくめて4名ほど入職する予定ですが、施設側としてもその覚悟や期待に応えられるように準備をしなくてはならないと思います。

そして、もうひとつの貴重な人材の可能性として個人的に期待したいのは、「働ける高齢者」のさらなる活躍です。
 
一方で、我々の仕事としては先に述べた特定技能の外国人労働者と比べては、「介護スタッフのサポート役」としての見通しはより強いと思われますが、恐らくほとんど場合で企業、施設が求めてくる専門性、柔軟性、体力面でマッチングせずに採用に至らない、採用をしても続かないといったミスマッチが多いのではないかと思われます。
 
但し、これからの日本の人口減少の厳しい時代で国の政策を含めて、企業、施設側がそういった「働ける高齢者」を受け入れる意識の醸成を図っていかなければいつまでたっても問題は解決しません。
もちろん高齢者の就労を進めるために現在の問題点と解決方法はいくつかあります。例えば問題点としては、「加齢による健康問題」「現代の技術やシステムの変化に追従の難しさ」「企業や施設などが高齢者を雇用するにあたっての偏見」「高齢者に合わせた職場環境不足」「再教育の機会不足」などです。これに対する解決策としては、職場での健康チェックなど適切な休憩時間の確保、技術などの進歩に対応するための研修や教育プログラムの提供は必要でしょう。


また、高齢者の能力や経験を評価する公平な採用基準をつくり、偏見を排除するような取り組みも必要でしょう。
何より、今までの高齢者の経験やスキルを活かす事のできるポジションの提供も考える必要がありそうです。
高齢者の就労を支援することは、個人だけでなく社会全体の持続可能性や活性化も期待できますから、社会全体の生産力を向上させるために、今までになかった様々な施策を考えていく必要がありそうです。
WELFARE,NO LIFE!
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