現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
厚生労働省は9月25日、製薬会社大手のエーザイと米バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ(商品名レケンビ)」の製造販売を承認しました。
この新薬は「アルツハイマー病の原因物質に直接働きかけ、除去し」、「アルツハイマー病の進行を抑える」ことが期待されており、岸田首相も会見で「認知症の治療は新たな時代を迎えた」と大きな評価を寄せています。
なお、この新薬は、年内にも保険適用され実用化の見通しとなっており、常に認知症と向き合う仕事をしている私たちの介護従事者にとってもこの新薬は大きなニュースとなりました。
大きな一歩、私たちにとっても期待をもって向かい入れたい新薬ですが、普及にはもう少し時間がかかりそうです。
まだ黎明期(新薬に期待という意味)ですが、新薬承認には現在2つのハードルがあります。
ひとつめのハードルは「薬価」です。
先立って米国で承認された新薬の価格は年、2万6500ドルほど、日本円にして約390万円であり、当然これから日本においてもこの新薬は高額になることが充分予想されるところです。
米国よりは安くはなると思いますが高額になることは間違いなく、国内価格がどの程度になるのかが一番の焦点で、その適応範囲もどこまでになるのか、どの段階での認知症患者に投薬をおこなえるのか、新薬承認で注目が集まっている分だけ、価格と適応範囲の保険収載の決定は議論の最大の山場となると思われます。
保険診療においては、受診をする患者さんの負担額は抑えられていても、残りの部分を負担しているのはもちろん税金であり、私たち国民が負担をしているものです。
価格と適応範囲が、新薬の場合にどのように位置づけるのか、アルツハイマー病の新薬が「国民負担を増やしていくほど大きな効果が見込まれるのか」は、今後の検証と、検討を重ねていく必要があるでしょう。
そして二つめのハードルは「安全性」です。
今回の新薬により、臨床実験では症状悪化を27%抑制し、進行を遅らせる効果が認められましたが、約10%ほどの脳の浮腫(むくみ)が起こると言われており、その他、副作用も報告されています。
また、原因物質を除去しても失われた脳細胞を補充するわけではなく、病状を戻したり根治させたりという事は期待できないという事です。
アルツハイマー病新薬には、介護従事者として引き続き注目、期待をしていきたいところでありますが、それにも増して私たち介護従事者がやはり継続して現場で取り組んで行く事があります。
認知症の方へのアプローチとして、入所、デイサービスなどの事業所内としても、地域などの活動にしても定期的な運動、身体的活動で認知機能を保つことです。
特に特に、MCIという比較的認知症でも軽度、初期の段階では、認知症を遅延には特に有効だとされています。
認知症の予防、遅延には食生活、睡眠、ストレス、などが影響として含まれますが、そのなかでも私が大切にしたいのは、社会的交流の大切さです。
高齢者の方にとって、いつまでも社会的に活動的であることは認知機能の維持におおいに役立ちますし、地域では友人や家族の交流、趣味などのグループ活動などの参加するべきで後押しするべきでしょう。
また、介護従事者として施設内でサービスを提供するときには利用者様との声掛け、あらためてコミュニケーションが非常に大切という事です。
人間は、言わずとして社会的な存在であり、コミュニケーションは社会的交流の基本で、認知症の方との定期的な会話は、その方の認知機能を遅延させるの効果がありますし、スタッフとの会話によって自分が価値のある人間であり、他者に認められているという感覚を得られる自尊心を大切にする意味でも重要なサービスです。
スタッフとの適切なコミュニケーションがはかれていれば、認知症の方が感じる不安や混乱なども軽減することだってできるでしょう。
さらに、会話のなかで、その利用者様の求めているニーズ、欲求、気になる点を把握し、適切なサポートやケアを提供することに役立つことでしょう。
そして、言葉を通じて日常生活のアクティビティや治療の誘導をすることも可能になります。
今回承認されたアルツハイマー病の新薬が否定的なのではなく、あくまで予防できるのであれば日常生活の自然なアプローチと併用して包括的に利用者様の認知症と向き合っていく事。現時点では、まだアルツハイマー病の患者すべてに門戸が開いている訳ではありませんから、今まで通り、私たち介護従事者の適切な支援を、認知症の方の安全や健康に、生活に喜びを少しでも充実感をもたらすために継続して根気よくおこなっていくことが何よりも大切だと思います。
WELFARE,NO LIFE!
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