介護人材流出

コラム

現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
介護業界からの人材流出が止まりません。
全国老人保健施設協会等の調査によれば、2022年の介護現場の離職者数は前年に比べて5.2%増
さらに介護施設で働いていた正社員が他業種へ流出した離職者数は28.6%大幅増となっています。
 
正社員の除いても26.3%となっていますから、この状態でいくと必要な人材を確保どころか、政府が考えている方針から逆流しているともとれる内容で、さらにこの流出は加速する可能性があります。
 
政府・与党はこの状況を受けて、来年2024年の2月から介護職員等の賃金月6,000円引き上げる措置を行う事で調整に入っていますが、残念ながら「その程度では効果はほとんどない」とみていいでしょう。
 
介護職員が一気に他産業に流出した背景には様々な要因が予想できますが、ここ4、5年間、私たち介護従事者を苦しませてきた新型コロナウイルスもその原因のひとつです。
 
クラスターに耐えに耐え、戦い抜いて、心身の状態から介護業界を去って行った職員も多く、さらに一気に加速した他産業の賃上げなどの影響により、介護従事者は賃金でもさらに置いて行かれる結果となってしまいました。

直近で厚生労働省の民間給与実態統計調査(2022年、労働者全体の平均給与)によれば、介護職員の平均給与は全体の平均よりも「月6万円以上低い」結果となっているのです。
さらに、2023年の春闘の平均賃上げ率が3.58%であるのに対し、介護職員の賃上げは率は1.42%といった調査結果もあり、来年2月に月6,000円の賃上げがおこなわれたとしても、全労働者の平均と比べると依然として大きな差があると言えます。現場で新型コロナウイルスを戦い抜いて、昨今の急激な物価上昇、そこに他産業の給与が魅力的に移れば当然、従来の賃金で生活をしていくのが難しくなり結果として貴重な人材な流出していく、当然予想できた内容ではないでしょうか。
 
介護職員の給与は介護報酬の中から支給されています。つまり政府が3年ごとに決定している介護報酬の増減に密接に連動していると言えます。このような状態で来年の報酬改定で万が一私たち介護従事者にマイナスに働く決定がなされたら人財の流出は…いち施設長としてはとても想像したくない内容です。

介護報酬の大幅な引き上げは、公費負担と介護保険料の増加に繋がり現役世代に負担をかける要因にもなり得ります。
ですから当然これから先も持続可能な制度として介護保険制度を守る観点から財務省など強行な姿勢を見せるでしょう、それも理解できます。
 
しかし、この問題は現在の少子化問題と同じように政府によって当然予想できた内容だったはずです。
そして私たち現場の人間も、現在このような状況になるのをなんとなく想像してきたにも関わらず、私たちの最大の後ろ盾となる政治意識を高めてこなかった反省もおおいにあるはずです。
 
変わらないのは、来たる2025年から2040年にかけての団塊の世代の介護の担い手の確保は、これからも日本全体の最大の課題であり、その認識を政府・与党がはたしてどの程度介護の仕事を重要に考えているか、つまり最終的にはその判断は国会議員の政治的決断、政治決着に委ねるしかありません。

賃金の大切さもさることながら、介護従事者に対する社会的認識の変化、向上も重要です。今までも介護の仕事は、社会に絶対的に必要とされているエッシェンシャルワーカーでありながら「儲かる仕事」ではありませんでした。
 
それでも介護従事者が自分の仕事に誇りを持って、利用者さまを守ってきたのは、介護の仕事が社会から尊重され、適切に評価されているといった自負があるからです。
 
社会的認識、評価を高めることは現場で働く職員のモチベーションや職業としての魅力を高めることにおおきく繋がると思います。
そしてあとひとつ思うのは、現在、介護の仕事は利用者さまを守る法律や制度があっても、国として現場で働く介護従事者をサポートする制度は充分とは言えないのではないかという事です。
 
もちろん現在の処遇改善などもその一歩と言えますが、現在は施設の労働環境の改善や福利厚生、キャリアアップなどありますが、もしかしたらこれからはそれだけでは不十分な時代なのかもしれません。
こういった現場に寄り添った政策立案も、人材流出を止めるために業界関係者で考えていかなればならない案のひとつだと考えています。

WELFARE,NO LIFE!
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