参議院議員選挙における自民党の公認をいただき、出馬するにあたって、私はいくつかの政策目標を掲げさせていただきました。
「安心・安全で質の高い介護の実現」。
安心・安全、質の高い、という言葉にはいろいろな解釈が含まれていますが、ここではその意味について、できるだけわかりやすくお伝えしたいと思います。
現在の日本は「超高齢社会」。そして、働き手の人口が減少していく「人口減少社会」でもあります。そのような状況で、老いても安心して質の高い介護サービスを受けることができるということ。それがこれからの日本、ひいては日本人にとって、非常に大切なことだと私は考えます。
安心・安全で質の高い介護。それを難しくする要因が、今の日本にはあふれています。働き手の減少による売り手市場の継続。介護職という職業が「3K」と揶揄されたイメージをいまだに引きずり、その仕事の尊さと魅力を十分に伝えられていないこと。介護報酬の低さが介護施設の経営を圧迫していること。そして、それが「介護職員の給料」というクリティカルな部分に影響を与えていること。こういった要因の連鎖によって、介護職に就きたいという方が少なくなれば、人的サービスである介護のサービス品質を維持・向上することはできなくなります。
これらの課題を解決するために、まず何をおいても取り組むべきこと。
それは「介護報酬の改善」。これに尽きます。
介護報酬の改善はまさに、私が参議院議員選挙にチャレンジする大きな目的のひとつでもあるのです。
介護報酬の改定率は、前々回(2015年)の改定で2.27%ダウンという憂き目を見ました。そこから前回(2018年)の改定では0.54%の微増となりましたが、依然として厳しい状況にあります。介護職員の給料や、老朽化した施設の増改築など、全国の介護施設はとにかく介護報酬を上げていかないことにはどうにもならない、というのが現状です。そんな状況にありながら、介護報酬が上がり続けていかないのはなぜか。それは、介護業界の、特に「現場」の声を政治の場に十分届けることができていないからです。
介護に精通した政治家といえば、2013年に亡くなられた故・中村博彦先生という方がいらっしゃいました。私も所属する老施協の会長もつとめられた方で、業界をしっかり守ってくださいました。さらに現在、参議院議員・そのだ修光先生が一生懸命、尽力してくださっているので、介護業界に良い風が吹き始めている、という感じではあります。
私は20年間、介護現場で勤めてきた人間です。デイサービス、特別養護老人ホーム、地域包括支援センターなど、さまざまな現場を通して、その課題を肌身に感じてきました。さらにここ1年でだいたい1,000施設ほど、全国の介護施設を訪問させていただいており、いまも継続中です。施設を廻らせていただき、介護職員の方々とお話をして思うのは、本当に皆さん、力を尽くして日々、頑張っておられるのだということ。しかしながら、その頑張りだけではカバーしきれないという状況になりつつあり、介護報酬の改善が急務であること。特に地方の介護施設では、人材不足や施設の老朽化など、すぐに何とかしなければならない問題が切迫しており、その切実な声をひしひしと感じています。
私はその経験を活かし、国政の場でその思いをしっかりと伝えていくことで、介護業界から日本の暮らしと経済を立て直し、健全な日本の未来をつくっていくことができるのではないかと考えています。
「安心・安全で質の高い介護の実現」。
それは簡単なことではありませんが、介護と政治との距離がもっと近くなれば、現場の声が政策に反映されるような状況をつくることができます。
私は現場の感覚を持ち、現場の声を知る身として、介護と政治をつなぐパイプ役として皆さんのために働きたいと考えています。