現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
梅雨の時期ではありますが、一部地域以外、なかなか本格的な梅雨入りにはならず暑い日が続きます。
この時期の私たちの介護・福祉業界にとって関心の高い話題と言えば、時の首相が議長を務める経済財政諮問会議と閣議決定される「骨太の方針」ではないでしょうか。
「骨太の方針には、国にとって重要な方針が政策として打ち出されており、最近だと「働き方改革(2017)」、「外国人労働者の受け入れ拡大(2018)」、「行政のデジタル化(2020)」、そして昨年から続く国難である「新型コロナ危機克服(2020)」に関するものなどが記載されています。
6月9日に開かれた経済財政諮問会議では、今年度の経済財政運営と改革の基本方針原案が明らかになりました。
私たちに関連する、社会保障や介護に関する分野については、3年後の介護と医療の同時改正に向けて、かなり介護業界としては注視していかなければならない状況である事は間違いないでしょう。給付費抑制の観点なこれは、「高齢者重視の財政措置から現役世代への転換を図る」というような菅首相からのコメントからも明らかです。
特に、今年は「骨太の方針」に大きな影響を与えている要因の一つに、秋に予定されている衆議院選挙があります。
次回には必ず大議論になるであろう、「利用者負担の2割引き上げ」、「ケアマネージャーのケアプラン有料化」などが予想されています。
しかし、秋の選挙を考えると、国民の大部分が高齢者の割合が多い日本において、そのあたりに配慮した内容となっており、菅首相のコメントからも、具体的な高齢者の負担増を求めるコメントは避けられたような印象です。
この新型コロナウイルスの予想を超える長期化において、財政支出が非常に厳しくなったのは周知のとおりです。
今後は、今まで以上の様々な引き締めがされる事が予想されます。
新型コロナウイルスの影響で国の財政状況が厳しくなった様に見られていますが、実はこの財政状況の悪化は、消費増税から始まっているもので、歳出抑制の動きはさらに加速するのではないかと考えられます。
そのような中ですが、私たちの業界にとっても国民全体とっても「朗報」とも呼べるニュースが飛び込んできました。
それは、日本の製薬会社大手のエーザイと米バイオ医療品大手バイオジェンが共同開発した世界初のアルツハイマー病新薬である「アデュカヌマブ」が米で新薬として承認されたニュースです。
アルツハイマー病に関してはこれまで、症状を一時的に軽くする薬は存在していましたが、病気が進む仕組みに直接作用し、認知機能の悪化を遅らせることを狙う根本治療薬は今回初めてです。
これは日本だけでなく、高齢化が進む世界各地の認知症対策に大きな期待と影響を与えそうです。
2020年、厚労省が認めている日本国内における65歳以上の認知症患者は、約600万人とも言われており、気たるべく2025年にはこの患者数は700万人まで膨らむと言われています。
また、そのなかでも、アルツハイマー型認知症は全体の67、6%、脳血管性(19、5%)、レビー型(4、3%)を抑え、認知症の約7割近くを占める割合になっていますから特に我が国にとって実用化が進めば、大変な朗報と言えるでしょう。
ただ、この承認の歓迎ムードの一方で、新薬として治療、処方にかかるコストが高額になることや、米国などではこの認知機能の抑える効果にはまだ懐疑的な見方もされています。
「引き続き臨床実験などで更に検証を重ねる必要がある、慎重に進めるべき」との意見もあります。
田村厚労大臣は「日本では、安全性、有効性を確信しているところで、まずはしっかりと審査を行い対応したい」と述べています。
国内のアルツハイマー型認知症の医療や介護にかかるコストは、家族による無償の介護を金額を換算した額を含めると、最大で年間12兆6000億円を超えるとの推計もされてますので、私たち介護、福祉業界としても政府の今後の対応と、この発表に大きな期待を寄せたいと思います。
「認知症の具体的な治療薬はない」
この通説を考えれば、本当に画期的であり素晴らしいニュースでしたが、私たち介護職としては、新薬の有無にかかわらず、薬には頼らずに高齢者や認知症患者の生活環境から改善し、予防するという、今まで通りの生活モデルやストレングスモデルを駆使して、支援アプローチをしていく事は変わりはありません。
今後、薬やテクノロジーなど、様々分野で物凄い速度で介護や福祉の世界は進歩していくでしょうが、私たちの本来の仕事である日常の「人と人との関わり」、「環境改善」は、高齢者や認知症患者にとって「有効な支援」であるということを再確認したいものです。
WELFARE,NO LIFE
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