現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
なるべく毎週書き続けたいと思って連載しているこのコラムですが、どうしても感染症の対応に迫られてしまうケースがあり、書く機会を奪われてしまったことをお許し下さい。
24日の厚生労働省の公表では全国の高齢者施設で発生しているクラスターも、21日までで593件、前週比から66件増加し、5週連続の増加となっています。
皆さまもどうかお気を付けください。
現在私の施設でも、国と本市宇都宮市からの要請で週3回の抗原検査が行っています。
正直、この抗原検査で自覚のないスタッフからいつ陽性の報告が来るのかと思うと、何かの連絡ごとにビクビクしている
というのが本音で、自覚のないまま、大きなクラスターになってしまう事を考えれば必ず必要な検査とはわかりつつも、現場としては複雑な感情も生まれてしまいます。
いずれにしても今までも陽性の報告を受けるたび、クラスターが起こって保健所や病院とのやりとりをするたび、心底、現場で身を投げ打って利用者様を守ってくれている私の施設のスタッフには心から有難く思います。
それぞれのスタッフにも当然家に帰れば家族がいます。
そのような中でも利用者様との応対で感染リスクと、手当てやお金ではなく、どのような状況でも責任感をもって最前線で汗をかいてくれているスタッフには感謝しかありません。
全国の医療現場の状況からすると、陽性が確認された利用者様を特別養護老人ホームや入所施設で預かるというのは仕方のない方針と判断なのかもしれません。
しかし、介護の現場には看護師は常勤としていても、医師はいません。
オミクロン株が、以前のデルタ株などと比べて毒性がいくら弱まったと言われても、コロナの陽性が確認されている、基礎疾患がほとんどの高齢のご利用者を預かるという事のリスクは「いつ何が起きても対応が出来ない」のです。
これは全国の介護施設で施設長および、現場スタッフ不安でもっとも恐れているもののひとつではないでしょうか。
いま政府や次回の2024年度介護報酬改定の議論では、介護分野ではいい話題は生まれてきていません。
もう少し、あと少し、医療分野だけでなく、介護事業所や従事者に対する高齢者支援に焦点が当たってもいいのではないかと思います。
特に、年末に向けて国の社会保障審議会、介護保険分科会は議論がいよいよ大詰めを迎えます。
介護保険の財源の25%は、国の一般会計から公費が充てられています。
少子超高齢化と人口減少、近年の経済情勢、特に2020年以降は新型コロナウイルスに対する政策や緊急の歳出で財政支出は増大し、今後の社会保障費の抑制や支出に警戒感が高まるのは仕方ないのかもしれません。当然の流れで、さらなる国民負担とその負担割合の拡大を政府が目指している事は誰の眼にも明らかでしょう。
心配なことは、こういった介護保険制度などの抜本的な方向転換や政策転向に、全国で問題や課題を抱えている高齢者の皆様やご家族、施設、事業所がその対応をすんなり受け入れる事が出来るのかという事です。
関心がある、理解をして対応が出来る余裕のある国民の皆さんはまだいいと思います。
一方で、備えも出来ず、対応も仕切れない高齢者の皆さんやご家族はどうするのでしょうか。
国や地方自治体はその把握が果たして行き届いているのでしょうか。
次期改定では、高齢者の皆さんを支えている最大のセーフティーネットである高齢者施設をマイナス政策に追い込むのでしょうか。
私たち介護従事者は時期改定がどれほど重要なものなのかを理解しているからこそ、情報に敏感にアンテナを立てています。
しかしこれから本当に丁寧に情報を提供し、理解を求め、合意を得ないといけないのはそれに関わる国民の皆様ひとりひとりだと思います。
幾度となく書きますが、介護現場で言えば、政治家の意見ひとつで、これからの介護従事者の働き方も支え方も変わるでしょう。
国会に専門の議員が存在するという事は社会保障に関する与党や他の国会議員の注目度も段違いでしたでしょう。
国政の場に私たちの代表たる政治家が不在なのは残念でなりません。
団塊の世代がピークを迎える2025年問題、その先には2040年問題。
ここからの20年間は、日本の高齢者介護にとって特に重要な時期であることは間違いなく、国民の誰しもが他人事ではなく、介護の重要性を理解し、自分ごととして大きな声を皆で国に届ける事が出来るか、この先の20年間で声を届けるために「何が必要なのか」を、あらためて考えなければならない時期なのでないかと思っています。
WELFARE,NO LIFE!
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