全国老施協トップセミナー

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現場の声届けます!
走る施設長、現場発信!かくた充由です。
 
10月3日、私が活動している全国老人福祉施設協議会は、都内でトップセミナーを開催し、全国1600の会員施設を対象とした令和4年度収支状況調査の結果を発表しました。
結果として赤字経営の特別養護老人ホームの施設は補助金を除いた場合で6割(62.0%)、補助金を含む場合でも5割を超える(57.0%)内容となりました。
 
以前の収支状況調査の結果、赤字特養が4割と比べると全国で半数を超え、私たちにとってみれば驚きの数値となり、来年の報酬改定の結果次第ではこの数値は更に悪化していく事が予想され、現状のままでは事業継続困難な施設が全国にあふれ、介護崩壊の危機的状況が迫っている事が事実として明らかになりました。
 
悪化をたどっているのはデイサービスも同様であり、特養と合わせて収支差率はマイナスに落ち込む結果となりました。
 
この結果は、新型コロナウイルスの影響はおおいにあることは予想できますが、物価高騰、賃金の上昇など感染症だけでなく施設負担の増大の大きな波に全国の施設が受け止め切れていない状況を表していると思います。

これは私たち介護従事者の将来に突き付けれた「大きな警告」であると受け止めなければなりません。
 
特養、デイサービスのみならず、養護老人ホームの措置費、経費ケアハウスの事務費もまったく望みがなくなることも間違いありません。

変わらずに全国老施協は、他団体とスクラムを組んで来年の報酬改定プラスに向けて全国の声を集約して強い圧力と要望活動を続けて参りますが、こんな時にあらためて私たちの介護の代表である国会議員がひとりもいない現状を本当に厳しく受け止めています。
 
介護の現場でどれだけスタッフひとりひとりが利用者に質の高いサービスを提供しようと思っても、その施設の運営、経営が安定していない状況だと適切なサービスだけでなく人員確保やICTの購入、施設整備などが滞り、安全面にさえ悪影響を及ぼす事が予想されます。そして何より私たち介護、福祉分野というのは、これからの社会を支える主役の職業のひとつであり、なくてはならない持続可能な仕事でなくてはなりません。
 
全国の高齢者の皆様を守ること、地域や今働いている職員を社会保障制度の安定で守っていく事がこれからの日本にとってかけがえのない使命なのだという事を理解して必ずプラス改定を勝ち取らなければならないと感じています。

しかし乗り越えなければならないものはたくさんあります。
財務省などとの攻防もですが、世論の理解を深めることも重要です。
 
例えば、NHKのテロップでは、予算組は「こども子育て予算を、医療と介護を削って社会保障のなかでみましょう」などの報道がされました。
高齢者介護の状況も大変な状況であるのに、さらにそこから予算を削るのか、そう捉えてしまいます。
 
こういった大切な改定や決定の際には、さまざまな報道や情報が世論を動かすために流れることが多くなります。
子育てはもちろん大切です、私も5歳の子供の父親ですし、教育の重要性もひしひしと肌身を感じているところですが、しかしその子育て予算は既に数十年前に対策するべきものであり、何よりその数十年前に現在の日本を支えてきたのは今の高齢者者の皆さんであるはずです。
 
よく世論として、よく高齢者と子育て予算半分かでどちらが大切かで分かれますが、実は子育てと高齢者の皆様とは繋がっていて、介護、社会保障の充実は、若い世代にも大きな影響を与えます。
よく国としては在宅サービスを推進する話を聞きますが、実際のところ、これから少子高齢化で働き手が減少したきた場合には、在宅で介護するということはさらなる介護離職に繋がり社会がまわらなくなる可能性があります。

在宅サービスの担い手であるホームヘルパーも高齢化、減少に一途であり、在宅の要となるデイサービスセンター収支状況から事業所を閉めているところが相次いでいます。
はたして「在宅サービスを利用して介護ができる」という理想的な環境がある世帯はどれだけあるのでしょうか。
 
またそれは持続可能な状況なのでしょうか。そのためにそういった高齢者の皆様と、ご家族の受け皿となる特別養護老人ホームや養護老人ホーム、ケアハウス、グループホームなどの施設、入居サービスが存在するのです。

施設サービスの重要性はこれからの社会において最も重要なカテゴリーだと思っています。

今、政府は遅れた子育て政策を必死になって取り返そうとして様々な予算組、議論が行われています。
しかし、これはどちらが優先とかではなく、本来、子育てと高齢者のサポートは共同体として全体でおこなうものです。
互いの世代を支え合うことで社会全体が安定し、将来に向けて持続可能な発展が期待できるものです。

今回で書ききれなかったので来週もトップセミナーの内容について触れたいと思いますが、いずれにしても私たちの仕事と生活は自分達でしか守ることが出来ません。
泣いても笑っても私たちの将来を決める介護報酬改定は12月に決着を迎えます
最終的に制度の内容や進め方は政府、行政がおこないますが、介護に対してプラスかマイナスかは、最後の決定はあくまで「政治決着である」という事をあらためて認識したいところです。

WELFARE,NO LIFE!
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